がん免疫治療「NKT細胞標的治療(RIKEN-NKT®)」とは
NKT細胞標的治療は、独立研究開発法人理化学研究所の研究成果であり、厚生労働省から先進医療B認定を受けるため、2010年に千葉大学医学部にてステージ3bおよびステージ4の非小細胞肺がんを対象とする医師主導型臨床フェーズ2を実施し、優れた治療実績を示したがん免疫療法です。
RIKEN-NKT®は、NKT細胞標的治療の社会実装を目指して設立された独立研究開発法人理化学研究所発のメディカルサイエンス企業である株式会社理研免疫再生医学によってさらに高度化された再生医療です。がん免疫治療としての作用機序はNKT細胞標的治療と同様ですが、細胞培養の再現性や再生細胞薬(特定細胞加工物)としての保存安定性に優れ、医療技術としての完成度の高さが特徴です。
■NKT細胞標的治療(RIKEN-NKT®)に関するお問い合わせ
当社は、株式会社理研免疫再生医学と事業提携しています。NKT細胞標的治療やRIKEN-NKT®に関するお問い合わせは、「お問い合わせフォーム」もしくは「098-923-0037」からお願いします。沖縄県内外に関わらず、医療機関様に対しては医療技術としての照会対応を、患者様に対しては正看護師同席での医療相談をお受けしております。
患者様に対しては、RIKEN-NKT®を提供可能な医療機関を沖縄県外に関わらず紹介することも可能です。
■医師主導型臨床フェーズ2の概要
表は、国の先進医療Bとして千葉大学医学部で実施された非小細胞肺がんを対象とするNKT細胞標的治療の医師主導型臨床フェーズ2の臨床データです。表の右側に記載されているのは各治療方法です。上1段はNKT細胞標的治療、中4段は分子標的薬(抗がん剤)、下1段はベストサポーティブケア(無治療)を示しています。図の横軸は生存期間中央値です。
文献1:J Immunol. 2009 Feb 15;182(4):2492-501
■試験結果の概要
- 対象:
余命5カ月とされた終末期の進行非小細胞肺がん患者17名。 - 結果:
進行非小細胞がん症例(ステージ3bおよびステージ4、再発例)17例の平均生存期間は18.6ヵ月であり、特に高IFN-γ(インターフェロンガンマ)生産患者群の生存期間中央値は31.9ヵ月と、ガイドライン推奨療法(抗がん剤など)と比較して顕著な延命効果が示されました。また、別途に実施された頭頸部がんを対象にした第Ⅱ相臨床試験では10例全例で有効性が確認されました。 - その他1:
初回治療のみで、その後無治療でも、腫瘤増大や転移、再発は認められませんでした。 - その他2:
顕著な副作用は認められませんでした。
■NKT細胞標的治療(RIKEN-NKT®)の治療費用と治療の流れ
RIKEN-NKT®によるNKT細胞標的治療の国内患者様への治療費は、成分採血(アフェレーシス)の場合、1クールで凡そ350万円です。全血採血の場合の治療費は、1クールで凡そ200万円です。これらの治療費は、医療機関によって若干異なる場合があります。
RIKEN-NKT®によるNKT細胞標的治療は、通常、下記フローのように実施されます。
- 患者様は通院のみで、自身の体調や都合に合わせて自由な治療スケジュールを立てることができます。
- 医師による初診、血液検査、詳細な治療内容の説明の後、血中の単球成分を採取するための成分採血を実施します。4回分の投与に十分に必要な量を確保します。所用時間は3~4時間程度です。患者様は同日、帰宅することができます。
※医療機関によっては、成分採血ではなく全血での採血を実施している場合があります。この場合の所要時間は30分間~1時間程度です。 - 採取された単球を、細胞培養加工施設で1週間程度かけて培養・加工を実施して十分に成熟しさせ、NKT細胞を活性化させるための再生細胞薬であるαガラクトシルセラミドパルス樹状細胞を調製します。
- 無菌試験等の安全性試験を実施し、再生細胞薬の安全性を確保します。
- 再生細胞薬は、皮下への注射(2cc程度)か点滴により投与します。通常、2週間おきに4回に分けて投与し、これを治療の1クールとします。投与後、副作用として軽い発熱や倦怠感が現れる場合がありますが、重篤な副作用はありません。
- 医師による診察、血液検査、治療後のフォローを実施します。
■NKT細胞標的治療(RIKEN-NKT®)の歴史
- 1986年:
T細胞、B細胞、NK細胞に続く第4のリンパ細胞(リンパ球)としてNKT細胞が発見されました。 - 1997年:
NKTの外来性リガンドである糖脂質「αガラクトシルセラミド(糖脂質の一種で医薬品相当物質)」が沖縄の久米島沖に繁殖する海綿の抽出物から発見されました。 - 2000年:
NKT細胞によるアジュバント効果が発見され、がん免疫療法としてNKT細胞標的治療の基礎研究が開始されました。 - 2012年前後:
国立研究開発法人理化学研究所の基礎研究をもとに、千葉大学医学部にて国の先進医療BとしてNKT細胞標的治療の臨床研究が実施されました。
※臨床研究対象
・非小細胞肺がん
・頭頚部がん
・術後非小細胞肺がん - 2016年:
一般普及を目的とし、国立研究開発法人理化学研究所発のメディカルサイエンス企業である株式会社理研免疫再生医学によりNKT細胞標的治療の提供が開始されました。以後、株式会社理研免疫再生医学が医療技術としての高度化に成功し、RIKEN-NKT®としての提供が開始されました。
これ以降、RIKEN-NKT®は、同社により慎重に治療成績のデータを蓄積・統計解析しながら提供されており、従来のがん免疫療法と比較して非常に大きな抗腫瘍効果が検証されています。2024年8月時点で800症例を超え、高いレベルで奏効率(がんの進行停止・部分寛解・完全寛解)を維持しており、QOL向上に至っては90%を超える成績を残しています。
■NKT細胞標的治療(RIKEN-NKT®)の作用メカニズム
NKT細胞標的治療とRIKEN-NKT®の作用メカニズムは同様です。なお、NKT細胞標的治療と他のがん免疫療法の作用メカニズムの違いについては「従来のがん免疫療法とNKT細胞標的治療(RIKEN-NKT®)の比較」で説明しています。
■作用メカニズム
免疫系に寄与するリンパ細胞(リンパ球)には、NK細胞、T細胞、B細胞、NKT細胞があります。
自然免疫系のNK細胞は、体内に侵入した菌やウイルスなどの異物を攻撃して排除する働きがあります。獲得免疫系のT細胞は、病原体がもつ抗原情報から学習して抗体を作り、同病原体を攻撃して排除する働きがあります。獲得免疫系のB細胞は、T細胞と同様に学習することにより病原体を攻撃します。
NKT細胞は、再生細胞薬であるαガラクトシルセラミドパルス樹状細胞を投与することで活性化し、炎症性疾患において重要な役割を果たすケモカインCXCL16に対し濃度依存的に遊走するとともに、IFN-γを放出(アジュバント効果)して自然免疫系と獲得免疫系の橋渡しを行い、これら全てを同時に活性化して、複数種の免疫細胞でがん細胞を総攻撃し、排除する働きがあります。
NKT細胞標的治療(RIKEN-NKT®)は、標準治療を含む他の治療法と比較して特徴的な点をいくつも有しています。
全ての人の全部位(一部血液がんを除く)が対象となります。これは、活性化NKT細胞ががん抗原でなく炎症疾患において重要や役割を果たすケモカインCXCL16をターゲットすることに由来しています。分子標的薬である抗がん剤や他のがん免疫療法の場合、がんの変異に薬効が追い付かなくなるケースがありますが、活性化NKT細胞はこれが弱点になりません。
活性化NKT細胞には免疫チェックポイントを制御し、免疫チェックポイント阻害剤(オプジーボ等)のように体内の免疫環境を整え、自然免疫系のNK細胞や獲得免疫系のT細胞の攻撃力を高める作用があります。
一旦、活性化NKT細胞によって免疫系のシグナル伝達が回りだすと、その免疫記憶が9ヵ月以上維持されることが臨床前研究により明らかになっています(一般のがん免疫療法の場合、免疫記憶は長く保たれるケースでも2週間程度です)。
活性化NKT細胞は、免疫チェックポイントを制御し、自然免疫系のNK細胞や獲得免疫系のT細胞の力も借りながらがんに対抗する作用機序を有することに加え、活性化NKT細胞自体もパーフォリン効果やグランザイム効果によってがん細胞を直接攻撃し、がん細胞の栄養補給源である血管新生を阻害します。
■従来のがん免疫療法とNKT細胞標的治療(RIKEN-NKT®)の比較
■NK細胞療法(活性化NK細胞療法:ANK療法)
自然免疫系であるNK細胞を身体外で増殖させ、活性化させた状態で身体内に戻すことで、NK細胞に由来するパーフォリン効果でがん細胞の死滅を狙うがん免疫療法です。
- 患者さん自身の細胞に由来する治療であるため副作用はほどんどありません。
- 身体内に戻した活性化NK細胞の寿命は48時間程度であり、効果が持続せず、短期間で何度も投与する必要があります。
- がん細胞の免疫抑制シグナルにより、NK細胞の攻撃力が大きく低下します。
- 上記の通り、がん細胞の一部が生き残ってしまい転移・再発を招いてしまうリスクがあります。
■T細胞療法(αβT細胞療法)
αβT細胞療法は、CAT(CD3-Activated T cells)療法とも呼ばれています。獲得免疫系であるT細胞を身体外で活性化させ、活性化T細胞として身体内に戻すことで、T細胞に由来するグランサム効果(T細胞が有する機能でがん細胞に特殊な酵素を注入し、細胞の自然死を促し効果)でがん細胞の死滅を狙うがん免疫療法です。
- 患者様自身の細胞に由来する治療であるため副作用はほどんどありません。
- 身体内に戻した活性化T細胞の寿命は48時間程度であり、効果が持続せず、短期間で何度も投与する必要があります。
- 免疫チェックポイントにより、T細胞の攻撃力が大きく低下します。
- T細胞は、学習したがん抗原を持たないがん細胞を攻撃できません(がんは病気が進むにつれて変異し、抗原を持たないがん細胞や学習していない抗原を持つがん細胞が増えてきます)。
- 上記の通り、がん細胞の一部が生き残ってしまい転移・再発を招いてしまうリスクがあります。
■樹状細胞ワクチン療法(DCワクチン療法:がんワクチン療法)
多くのがん種に高頻度で現れるWT1というタンパク質(がん抗原)を人工的に作成し、このがん抗原を身体外で樹状細胞に結合させ、これを身体内に戻すことで、身体内でWT1を学習したT細胞を増殖・活性化させ、グランサム効果でがん細胞の死滅を狙うがん免疫療法です。
- 患者様自身の細胞に由来する治療であるため副作用はほどんどありません。
- 獲得免疫系における免疫記憶が長期間持続します。
- 免疫チェックポイントにより、T細胞の攻撃力が大きく低下します。
- T細胞は、WT1を持たないがん細胞を攻撃できません(WT1を持たないがん細胞は一定割合存在します。また、がんは病気が進むにつれて変異し、抗原を持たないがん細胞や学習していない抗原を持つがん細胞が増えてきます)。
- 上記の通り、がん細胞の一部が生き残ってしまい転移・再発を招いてしまうリスクがあります。
■NKT細胞標的治療(RIKEN-NKT®)
身体外で樹状細胞にCD1d分子(細胞膜に存在する膜上タンパク質の一種)を発現させ、CD1dにαガラクトシルセラミドを結合させます。この樹状細胞を身体内に戻すことで、もともと身体内に存在するNKT細胞を活性化させ、さらに、活性化NKT細胞によって身体内で他の免疫細胞(NK細胞、T細胞、B細胞)を増殖・活性化させ、これら全ての活性化免疫細胞によってがん細胞の死滅を狙うがん免疫治療です。
- 患者様自身の細胞に由来する治療であるため副作用はほどんどありません。
- がん細胞からのケモカインCXCL16に反応して身体内を移動し、がん細胞の周りに集積します。
- がん抗原の有無に関わらずがん細胞を攻撃します。
- 血管新生を阻害します。
- 免疫チェックポイントを阻害します。
- IFN-γを放出し、自然免疫系であるNK細胞や獲得免疫系であるT細胞、B細胞の増殖や活性化を促します(アジュバント効果)。同時に、長期間の免疫記憶を形成するとともに、獲得免疫系の応答を高速化します(活性化NKT細胞を含むこれら全ての活性化免疫細胞の連鎖反応によりがん細胞を攻撃します)。
- がん抗原に応答するのではなくケモカインに応答するため、ほとんどすべてのがんに適用し、がん細胞の変異にも対応します。
- 上記の通り、NKT細胞標的治療は、従来のがん免疫療法の全ての作用機序とメリットを包括し、さらに活性化NKT細胞固有の「がんの種類・変異に影響を受けない」「免疫チェックポイントを阻害する(T細胞によるがん細胞への攻撃力を改善する)」などの作用メカニズムを有することが、学術的にも臨床的にも極めて価値が高く、標準治療の弱点を補完できる可能性が期待されている理由です。
■標準治療とNKT細胞標的治療(RIKEN-NKT®)の比較
■抗がん剤(分子標的薬)に対して
分子標的薬は、特定の目印(がん抗原や糖鎖等)を持つがん細胞を攻撃する抗がん剤で、大きな治療効果が期待できます。一方、目印を持たないがん細胞は攻撃できないため、当たりを引くまで様々な分子標的薬を試さねばならない点と、がん細胞が変異するとそれに応じて分子標的薬の種類を変更してまた当たりを探さなければならない点と、治療が長引きがん細胞がより多くの変異を経験していくと使える分子標的薬の候補がなくなってしまう点と、副作用が大きい点が弱みです。
現在、臨床知見が蓄積され、最初の当たりはかなりの高確率で引くことができます。このため、先ずは抗がん剤をがん治療の第一選択肢とし、症状を見極めてからがん免疫治療を検討する(あるいは抗がん剤の投与クールの間でがん免疫治療を検討する)というのが適切と考えます。最初からがん免疫療法を進める医療機関に対してはセカンドオピニオンをお薦めします。とはいえ、疾病の治療においては患者さんの意思と納得が最優先事項だと考えます。
■免疫チェックポイント阻害剤(オプジーボ等)に対して
免疫チェックポイント阻害剤は、身体内の免疫環境を改善し、主にT細胞によるがん細胞への攻撃力を改善することを主たる目的とします。2024年8月時点で、奏効率は平均で20%程度とされており、少なからず再発が確認されています。患者様のもともとの免疫環境が良好なほど奏効率が高まるという研究報告があります。
免疫チェックポイント阻害剤が適用されるがん種の場合、抗がん剤である分子標的薬と同様にがん治療の第一選択肢とし、症状を見極めてからがん免疫治療を検討する(あるいは免疫チェックポイント阻害剤の投与クールの間でがん免疫治療を検討する)というの適切と考えます。最初からがん免疫療法を進める医療機関に対してはセカンドオピニオンをお薦めします。とはいえ、疾病の治療においては患者さんの意思と納得が最優先事項だと考えます。
■がん免疫療法に関する用語
■リンパ細胞(リンパ球)とは:
リンパ細胞とは、白血球の一種であり、免疫系において重要な役割を果たす細胞です。NKT細胞発見以前のリンパ細胞は主に以下の3つのタイプに分類されていました。
- B細胞(Bリンパ球)とは:
B細胞は、体内に侵入した病原体に対して抗体を生成する機能を持っており、ウイルスや細菌を特定し、排除する役割を担います。成熟すると抗体を大量に生産する機能を持つ形質細胞に変化します。また、一部のB細胞はメモリーB細胞(感染等の記憶を持つB細胞)として、再度同じ病原体が侵入した際に迅速に反応します。B細胞は、全リンパ球の20~40%を占めています。 - T細胞(Tリンパ球)とは:
T細胞は、主に感染した細胞やがん細胞を直接攻撃する役割を担っています。T細胞には、他の免疫細胞を活性化する役割を担うヘルパーT細胞と、感染した細胞を破壊する役割を担うキラーT細胞があります。T細胞は、全リンパ球の60~80%を占めています。
なお、B細胞(及び形質細胞)やT細胞のように、感染した病原体を特異的に見分け、それを記憶することで、同じ病原体に出会った時に効果的に病原体を排除できる仕組みを獲得免疫系と呼びます。 - NK細胞(ナチュラルキラー細胞)とは:
NK細胞は、生まれつき備わっている免疫機能であり、感染した細胞やがん細胞を迅速に攻撃(体内で異常な変化が起こった際に即座に反応)することから、自然免疫系と呼びます。NK細胞は、全リンパ球の10~30%を占めています。
■自然免疫系とは:
生まれながらにして自然に備わっている免疫系で、NK細胞が関与します。がん免疫治療において、がん抗原の有無に関わらずがん細胞を攻撃します。
■獲得免疫系とは:
病原体がもつ抗原情報から抗体を作り、後天的に作用する免疫系で、B細胞やT細胞が関与します。がん免疫治療において、がん抗原を有するがん細胞のみを攻撃し、がん抗原を有さないがん細胞は攻撃しません。
■NKT細胞(ナチュラルキラーティー細胞)とは:
T細胞とNK細胞の特性を併せ持つ特殊な免疫細胞で、CD1d分子(細胞膜に存在する膜上タンパク質の一種)によって提示される糖脂質抗原(CD1d分子と医薬品相当物質としてのαガラクトシルセラミドの複合体)によって活性化されます。NKT細胞は、身体内の免疫応答の調節に重要な役割を果たしています。NKT細胞は全リンパ球の0.01%~0.1%程度を占めています。
■樹状細胞とは:
- 樹状細胞とは、免疫細胞の一種で免疫系の司令塔のような役割を担います。
- 身体にとっての異物を発見すると、それを取り込んで特徴を覚えます。
- 体内に入ったウイルスなどの抗原をT細胞に提示させます(抗原情報をT細胞に学習させます)。
- 病原体の自然免疫系における検出と獲得免疫系の活性化に重要な役割を果たします。
- 獲得免疫系を増強および調節するサイトカインと増殖因子を分泌します。
■単球(単核球)とは:
単球(単核球)とは、白血球の成分の一種で、白血球の3~8%を占めています。細菌などの異物を細胞内に取り込み、樹状細胞に変化して異物の一部を細胞表面に提示します(これを抗原提示と呼びます)。
■アジュバント効果とは:
アジュバント効果とは、獲得免疫系(B細胞、T細胞)を活性化させ、感染細胞やがん細胞に対する身体防御機能を強化します。また、免疫記憶(感染等の記憶を持った状態)が形成され、将来の感染等に対する身体防御機能が向上します。このような一連の作用により、アジュバントは新生児や高齢者など免疫力の弱い人々にも効果的とされています。
■ケモカインとは:
ケモカインとは、細胞の遊走を促進する分泌タンパク質で、免疫反応を促進させる作用があり、炎症部で大量に産生されます。
■IFN-γ(インターフェロンγ)とは:
IFNγ(インターフェロンγ)とは、抗ウイルスや抗腫瘍、免疫調節などの作用を持つサイトカインです。
■サイトカインとは:
サイトカインとは、細胞から分泌される低分子のタンパク質の総称で、細胞間の情報伝達や免疫反応に関与する生理活性物質です。
■パーフォリン効果とは:
パーフォリン効果とは、標的細胞の膜に小孔を形成させて当該細胞を死滅させます。
■グランサム効果とは:
グランサム効果とは、特殊な酵素を標的細胞に注入して当該細胞の自然死を誘導します。
■血管新生とは:
血管新生とは、がん細胞に栄養を送るために本来存在しない異常な血管が形成されることです。
■免疫チェックポイントとは:
免疫チェックポイントとは、T細胞にブレーキをかけてがん細胞が免疫細胞の攻撃を逃れる仕組みのことです。
■免疫記憶とは:
一度感染した病原体に再度感染した時に、初回よりも迅速に病原体を攻撃する仕組みで、あたかも免疫系に記憶が残っているかのようにみえる機能です。
■リガンドとは:
リガンドとは、生体分子と複合体を形成して生物学的な目的を果たす物質のことです。
■先進医療とは:
先進医療とは、「厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、保険給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養」と定義されています。公的医療保険が適用されませんが、一般の保険診療との併用が認められているものを指します。先進医療には、先進医療Aと先進医療Bがあります。
- 先進医療A:
- 未承認、適応外の医薬品、医療機器の使用を伴わない医療技術が該当します。
- 未承認、適応外の体外診断薬の使用を伴う医療技術等であって当該検査薬等の使用による人体への影響が極めて小さいものが該当します。
- 先進医療B:
- 未承認、適応外の医薬品、医療機器の使用を伴う医療技術が該当します。
- 未承認、適応外の医薬品、医療機器の使用を伴わない医療技術であって、当該医療技術の安全性、有効性等に鑑み、その実施に係り、実施環境、技術の効果等について特に重点的な観察・評価を要するものと判断されるものが該当します。
■医師主導型臨床とは:
医師主導型臨床とは、製薬企業が実施する企業治験に相当しますが、医師主導型臨床の場合は、治験の計画や実施、厚生労働省の承認を得るための準備や管理を医師が行います。基本、治験と同様のステップで進められます。
- 第Ⅰ相臨床試験(フェーズⅠ):
少数の健康な方々を対象に被験薬の薬物動態(吸収、分布、代謝、排泄)や安全性(有害事象、副作用)について検討することを目的として実施されます。 - 第Ⅱ相臨床試験(フェーズⅡ):
少数の患者の方々を対象として有効性・安全性・薬物動態などを検討し、有効で安全な投薬量や投薬方法を確認します。 - 第Ⅲ相臨床試験(フェーズⅢ):
多くの患者の方々を対象に既存薬などとの比較試験等を実施して、有効性と安全性についての客観的な検証を行います。
■成分採血(アフェレーシス)とは:
成分採血(アフェレーシス)とは、血液から特定の成分を分離する手法です。血液を専用の器械を使って体外に取り出し、目的の成分を取り出した後、残りの血液を体内に戻すことです。NKT細胞標的治療(RIKEN-NKT®)の場合、白血球(単球:単核球)のみを採取し、赤血球や血小板、その他の血漿成分は全て患者様の体内に戻しますので、実質的な採血量が少なくて済み、患者様の身体的負担を最小限に抑えることができます。