化粧品原料の製造販売|再生医療関連|現行事業
製品コード:PCP-FD®Ⅱ-β
国際化粧品原料命名法(International Nomenclature Cosmetic Ingredient, INCHI)では「Platelet Extract」、日本の化粧品成分表示名称では「血小板抽出エキス」と表記される生物(ヒト)由来原料で、ヒト幹細胞培養上清やエクソソームに代わる新たな商材として活用ください。
なお、PCP-FD®Ⅱ-βとPCP-FD®Ⅱ-αは、同じ組成構成の製品ですが、製造時の確認項目と製品の品質保証項目が異なります。PCP-FD®Ⅱ-βは化粧品グレードの製品で、PCP-FD®Ⅱ-αは研究用試薬(RUO)グレードの製品です(研究用試薬(RUO)がよりハイグレードです)。
原則、販売形態はフリーズドライ状態となりますが、化粧品の製造現場では液体状態の方がより扱いやすいとの意見を頂き、液体状態での販売にも対応しています。是非お問い合わせください。

化粧品原料規格書の概要
■1. 一般情報
- INCI 名称(英語):Platelet Extract
- 日本語名称:血小板抽出エキス
- 区分:化粧品原料(生物由来原料)
- 形態:白色〜淡黄色のフリーズドライ粉末
- 包装形態:5mLバイアルに1mL 分注・凍結乾燥、40バイアル/ロット
■2. 原料由来・製造工程
- 一次加工原料:ヒト血小板溶解液(GMPグレード)
- 二次加工:当社にて調製・分注・フリーズドライを実施
- トレーサビリティ管理:
- 一次加工原料のロット番号・原産国・製造日・感染症スクリーニング結果(CoA)を当社ロットに紐づけ管理
- 採血施設名・採血日・ドナーID・検診記録等は一次加工原料メーカーが GMP 文書として管理
■3. トレーサビリティ情報(一次加工原料のCoAより転記)
- 一次加工原料ロット番号:出荷ロットによって異なります
- 原産国:USA
- 製造日:出荷ロットによって異なります
- 保存条件:−20 ℃ 以下
- 有効期限:出荷ロットによって異なります
- 採血施設:FDA認可施設(詳細記録は一次加工原料メーカーが管理)
- 感染症スクリーニング:HBsAg、anti-HBc、anti-HCV、anti-HIV-1/2、anti-HTLV-1/2、anti-T. cruzi、梅毒血清学試験、および HBV/HCV/HIV/WNV NAT → すべて陰性
- γ線照射によるウイルス不活化処理有
■4. 当社での加工・品質管理
- 製品ロット番号:出荷ロットによって異なります
- 加工日:出荷ロットによって異なります
- 試験項目(ロットごと):
- 無菌試験:発育無し
- エンドトキシン試験:0.3 EU/mL 以下
- マイコプラズマ否定試験:検出せず
※ウイルス否定試験は社内で実施済み(検出せず)だが、規格書には記載しない。
■5. 外観・理化学特性(参考値)
- 外観:白色〜淡黄色粉末
- 溶解性:水に可溶
- 総タンパク量:0.04 – 0.08 g/mL(注射用水1 mL溶解時)
- フィブリノーゲン量:< 20 µg/mL(注射用水1 mL溶解時)
- pH:6.5~8.5
■6. 使用上の注意
- 本原料は 化粧品用途限定(医療用途等への使用不可)
■7. 保管条件1
- 温度:4 ℃以下、遮光保存
- 品質保証期間:製造後 12 カ月(未開封)
- その他:溶解後は 4 ℃で7 日以内に使用し、再凍結不可
■8. 保管条件2
- 温度:室温・遮光保存
- 品質保証期間:製造後6カ月(未開封)
- その他:溶解後は4 ℃で7 日以内に使用し、再凍結不可
■9. その他
- 安全性要件に関する試験結果および製造販売元所見が必要な場合、別途にお問い合わせください
- PCP-FD®Ⅱ-βの品質管理データは製造ロット毎に発行します
化粧品処方の設計における留意事項
■1. 化粧品における加熱処理の一般的な位置づけ
化粧品の製造では 80℃前後・30分程度の加熱殺菌(バルク加熱)が慣習的に行われます。これはパラベンやフェノキシエタノールなどの防腐剤を配合していても、「充填前の微生物リスク低減」として実務的に組み込まれることが多いためです。
一方で、タンパク質やペプチドを含む生物由来原料ではこの工程が問題になり、生物由来原料を最後に添加する処方設計や、低温充填(コールドプロセス)を選択するケースもあります。
■2. タンパク質の変性に関する知見
一般的に タンパク質は50〜60℃程度から立体構造が不安定化し、70〜80℃では多くが変性・失活します。
[1] 参考事例
- 血清アルブミン:50〜60℃で部分変性、70℃以上で不可逆的変性(文献:Pace CN, Protein Science 2004)。
- 成長因子(EGF, PDGF, VEGF など):40℃でも徐々に失活、冷凍保存下で安定、加熱には極めて不安定(文献:Wang W. Int J Pharm 1999; “Stability of protein pharmaceuticals”)。
- 幹細胞培養上清コスメ関連の報告:培養上清はろ過滅菌(0.22 μmフィルター)で無菌化するのが一般的で、「加熱処理を行うと成長因子は失活するため避ける」と明言されています(例:Stern-Stark et al. J Drugs Dermatol 2015)。
- 上記は最も現実的で一般的な処方手順です。
- 一般的に生物由来原料を化粧品バルクに無菌的に後添加する場合、滅菌フィルター通過済みの原料(例:PCP-FD®Ⅱ-βを溶解後0.22 μmフィルターを通過)を用います。但し、PCP-FD®Ⅱ-βの場合、製品そのもの無菌性が確保されているため、本フィルターろ過は「推奨」であり「必須」ではありません。但し、PCP-FD®Ⅱ-βを溶解する際、滅菌水や注射用液など無菌性が担保された液体組成物を使用します。
- 充填環境のクリーン度が確保できない場合はリスクは残るため、最終製品にも防腐剤系の使用を推奨します。
- 幹細胞上清コスメやエクソソーム化粧品では標準的な運用です。
- 加熱殺菌はしない代わりに無菌操作と防腐設計でカバーできる場合があります。
- フリーズドライ状態のPCP-FD®Ⅱと液状化粧品の包装を分けて販売し、使用時に、お客様自身で混合していただく(医療用化粧品・高級化粧品に採用例があります)。
- 由風BIOメディカル株式会社 代表取締役社長
- 沖縄再生医療センター:センター長
- 一般社団法人日本スキンケア協会:顧問
- 日本再生医療学会:正会員
- 特定非営利活動法人日本免疫学会:正会員
- 日本バイオマテリアル学会:正会員
- 公益社団法人高分子学会:正会員
- X認証アカウント:@kazu197508
■3. 実務的な加熱殺菌回避策
化粧品バルクを加熱殺菌後に冷却(40℃弱)します。その後、生物由来原料を化粧品バルクに無菌的に添加します。
[1] その他参考事例
1. 熱に弱い成分はあらかじめ「ろ過滅菌」を実施
2. 凍結乾燥品を最終製品に「二剤式」で提供
文責
■博士(工学)中濵数理
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