加工役務の提供|再生医療関連|現行事業
特定細胞加工物
特定細胞加工物とは、再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療等安全性確保法)に基づき、体外で加工や培養を施した人の細胞を指します。
再生医療を提供する医療機関は、自ら作成した「再生医療等提供計画」について、リスク分類(第一種・第二種・第三種)ごとに異なる手続きを経る必要があります。
- 第一種再生医療等および第二種再生医療等
厚生労働大臣の許可が必要です。計画は、特定認定再生医療等委員会の審査を受け、その意見を添えて厚生労働省に提出します。 - 第三種再生医療等
厚生労働大臣への届出を行います。計画は、認定再生医療等委員会の審査を受け、その意見を添えて厚生労働省に提出します。
その後、医療機関は患者の検体を、厚生労働省の許可を受けた「特定細胞加工物製造事業者」に委託し、事業者は所定の加工や培養を実施して、品質基準を満たした細胞を医療機関に返却します。
当社は厚生労働省から特定細胞加工物製造の許可を取得しており、許可を受けた施設「由風BIOメディカル沖縄再生医療センター(施設番号:FA7230002)」において、この業務を提供しています。
■1. 扱いのある特定細胞加工物
[1] αガラクトシルセラミドパルス樹状細胞
がん免疫療法の一つである「NKT細胞標的治療」に用いられる特定細胞加工物です。
NKT細胞標的治療は、国立研究開発法人理化学研究所の研究成果に基づいて開発された技術であり、2000年代に行われた第Ⅰ相試験で安全性が確認されたのち、2010年には厚生労働省の承認を受けて先進医療Bの枠組みのもとで医師主導型第Ⅱ相臨床試験が実施され、良好な治療成績が報告されています。
当社では、NKT細胞標的治療のうち、RIKEN-NKT®ⅠおよびRIKEN-NKT®Ⅱのαガラクトシルセラミドパルス樹状細胞を扱っています。RIKEN-NKT®は、理化学研究所発のメディカルサイエンス企業である株式会社理研免疫再生医学がライセンスを保有するNKT細胞標的治療です。
RIKEN-NKT®の最大の特徴は、GMPグレードで高純度のαガラクトシルセラミドを用いることで、一般試薬を用いる他のNKT細胞標的治療よりも期待される力価が大きい点にあります。
RIKEN-NKT®ⅠとⅡは採血方法に違いがあります。RIKEN-NKT®Ⅰは成分採血(アフェレーシス)によって検体を採取し、RIKEN-NKT®Ⅱは全血採血によって検体を採取します。この違いにより、治療費や得られる樹状細胞の数が異なります。
成分採血の方がより多くの樹状細胞を得られるため、一見すると効果も高いように思われますが、現時点では樹状細胞数と臨床効果との明確な相関は不明です。そのため、選択に際しては医師と十分に相談し、患者様とご家族が納得のうえで判断されることが大切です。
当社ではNKT細胞標的治療について幅広く技術情報を提供しています。是非お問い合わせください。また、HP上でも一部の技術情報を公開しています(NKT細胞標的治療:RIKEN-NKT®)。
[2] 活性化NK細胞
がん免疫療法の1つである「活性化NK細胞療法(ANK療法)」に用いられる特定細胞加工物です。
ANK療法は、日本では比較的早くから導入され、著名人が治療を受けたことを公表した例もあるため、がん免疫療法のなかでも知名度の高い療法です。しかし、これまでに報告されてきた臨床試験や学術論文は規模が限られており、科学的に有効性を裏づける十分な根拠は得られていません。
当社としても取り扱いは可能ですが、科学的エビデンスが限定的であることから、原則として積極的に提供していません(あくまで当社見解です)。
加工役務の委受託契約に際しては、医療機関や患者様の強い希望がある場合に限られ、その際にも治療の特性や限界を十分に理解していただくことを重視しています。必要に応じて、他の特定細胞加工施設をご紹介する体制も整えています。
[3] 脂肪由来間葉系間質細胞
脂肪由来間葉系間質細胞(旧称:脂肪幹細胞)は、患者自身の脂肪組織から細胞を採取し、培養・加工したうえで体内に戻すことで、組織修復や炎症の抑制を期待する細胞治療に用いられる特定細胞加工物です。
日本再生医療学会は、幹細胞としての性質を過大に受け止められるおそれがあることから、正式名称を「間葉系間質細胞(Mesenchymal Stromal Cells, MSC)」へ統一しました。
国内では、再生医療等提供計画に基づき、関節内注射による変形性関節症の症状緩和や、点滴による脳卒中や脊髄損傷の機能回復、慢性疼痛の軽減を目的とした臨床的な試みが行われています。
ただし、これまでに発表されている臨床試験は規模が限られており、十分な科学的根拠を裏づけるものではありません。特に「損傷部位に定着して分化し、欠損組織を置き換える」といった作用は確認されておらず、実際の効果は細胞が分泌する成長因子やエクソソームによる環境調整に起因すると考えられています。
一部の症例では、複数回の投与を通じて機能の改善が報告されることもありますが、再現性や持続性は十分に検証されていません。さらに、費用が高額となるケースも多く、科学的根拠が限られているため、一般的な治療選択肢として確立しているわけではありません。
そのため当社においても取り扱いは可能ですが、科学的エビデンスが限定的であることから、原則として積極的には提供していません(あくまで当社見解です)。
加工役務の委受託契約に際しては、医療機関や患者様から強い希望がある場合に限られ、その際にも治療の特性や限界を十分に理解していただくことを重視しています。また、必要に応じて他の特定細胞加工施設をご紹介する体制も整えています。
[4] 血小板加工物
血小板加工物は、「多血小板血漿(PRP:Platelet-Rich Plasma)療法」に用いられる特定細胞加工物です。
PRP療法は、患者様自身の血液から血小板を高濃度に含む血漿成分を分離・調製し、患部に注入することで組織の修復や再生を促す治療法です。血小板には成長因子やサイトカインが豊富に含まれており、これらが組織修復、血管新生、炎症の調整などを介して治癒を助けると考えられています。
PRP療法は、整形外科領域を中心に臨床応用が進み、膝関節の変形性関節症、靱帯損傷、腱障害(テニス肘、アキレス腱炎など)に対して、多数の臨床試験で有効性と安全性が確認されています。
日本でも厚生労働省の先進医療として実施された経緯があり、近年では保険診療として適用されるケースも広がりつつあります。また、歯科・口腔外科領域では、インプラント手術や骨再生補助に用いられており、形成外科・皮膚科領域でも創傷治癒や美容医療で活用されています。
エビデンスの蓄積は他の再生医療と比べても豊富であり、ランダム化比較試験やシステマティックレビューにおいて、一定の有効性が科学的に支持されています。ただし、効果の程度や持続性は対象疾患や症例によって異なり、最適な投与プロトコル(調製方法、投与回数、濃度など)については引き続き研究が進められています。
当社ではPRP療法について幅広く技術情報を提供しています。是非お問い合わせください。
その他細胞加工物
■1. PCP-FD®Ⅰ
PCP-FD®Ⅰは、当社が独自に開発した細胞加工物です。患者様から採取した検体から、多種多様な成長因子や抗酸化酵素、さらには細胞外小胞を高濃度で抽出し、不要な細胞残骸を除去したうえで、フリーズドライ化して医療機関に返却します。
PCP-FD®は細胞そのものを含まないため、再生医療等安全性確保法の規制対象には該当せず、薬機法上は加工役務としてバイオセラピー(医師裁量による自由診療)の枠組みで取り扱われます。
当社ではPCP-FD®Ⅰに関する技術情報を幅広く提供しています。是非お問い合わせください。一部の技術情報については、当社ホームページ上でも公開しています(PCP-FD®Ⅰ)。
なお、当社ではPCP-FD®をさらに高度化した開発コード「PCP-FD®-RD」の研究開発を進めており、将来的には再生医療等製品あるいは医薬品としての承認取得を目指しています。
文責
■博士(工学)中濵数理
- 由風BIOメディカル株式会社 代表取締役社長
- 沖縄再生医療センター:センター長
- 一般社団法人日本スキンケア協会:顧問
- 日本再生医療学会:正会員
- 特定非営利活動法人日本免疫学会:正会員
- 日本バイオマテリアル学会:正会員
- 公益社団法人高分子学会:正会員
- X認証アカウント:@kazu197508
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