
次世代モジュールCPC|細胞培養加工施設|沖縄再生医療センター
当社の再生医療事業において、医療の安全性と信頼性を支える重要な基盤となるのが 細胞培養加工施設(CPC:Cell Processing Center)です。当社はこの施設を「沖縄再生医療センター」と命名し、厚生労働省から特定細胞加工物製造に関する許認可を取得しました。
これにより、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に準拠したサービスを提供し、医療の発展と患者の安心につながる環境を整えています。詳細は「次世代モジュールCPC|沖縄再生医療センター」をご覧ください。
再生医療関連事業
当社の再生医療事業、および再生医療関連事業について紹介します。
■再生医療事業
当社は「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に準拠し、再生細胞薬である特定細胞加工物を医療機関から受託して製造し、患者様に提供しています。
さらに、本事業は 株式会社日立製作所、日立グローバルライフソリューションズ株式会社、そして 特定国立研究開発法人理化学研究所発のメディカルサイエンス企業である株式会社理研免疫再生医学と連携しながら推進しています。この強固なパートナーシップにより、再生医療の発展と産業化を加速させ、安全で信頼性の高い細胞医薬品の提供を実現しています。
詳しくは、「再生医療CMOおよびCDMO」のページをご覧ください。
なお、CMO(Contract Manufacturing Organization) とは、医薬品の製造を受託する機関を指し、日本語では「医薬品製造受託機関」と表現されます。また、CDMO(Contract Development and Manufacturing Organization) とは、製造だけでなく開発も含めた受託を行う機関であり、日本語では「医薬品開発製造受託機関」と呼ばれています。
■院内試薬製造事業
PRP療法は、整形外科領域やスポーツ再生医療、皮膚科、AGA・FAGA(薄毛・発毛治療)、不妊治療、美容医療など、さまざまな分野で活用されている再生医療の一つです。特に国内では、変形性膝関節症をはじめとする各種関節症の治療法として広く認知されており、関節の痛みや機能改善を目的に多くの医療機関で導入されています。
PRPとは Platelet-Rich Plasma の略称で、日本語では多血小板血漿療法と表現されます。血小板を高濃度に含む血漿を活用し、組織の修復や再生を促進することが特徴です。
当社では、PRP療法をさらに進化させた次世代PRPのカテゴリーの中で、独自の PCP-FD® という院内調剤用試薬を提供しています。これにより、より高い治療効果と利便性を実現し、さまざまな医療現場での活用を支援しています。
詳しくは、「PRP療法(多血小板血漿療法)|次世代PRP「PCP-FD®」とは」のページをご覧ください。
当社は再生医療事業で培った細胞培養技術を活かし、幹細胞培養上清やエクソソームの機能性を担う成長因子を活用した製品を提供しています。
具体的には、院内調剤用試薬 および化粧品原料として、これらの有効成分を製造・販売しています。しかし、一般的な幹細胞培養上清やエクソソームに含まれる成長因子は、製造過程でその多様性や濃度が不安定になりやすいうえ、もともと濃度が希薄であるために十分な有効性を発揮できないケースが多く見られます。
そこで当社では、この課題を克服する独自の技術を導入し、高濃度で安定した成長因子の提供を実現しました。
加えて、安全性にも注力しており、ドナー由来のウイルス感染リスクを低減するために、γ線照射を施し99.99%のウイルス不活化を達成した原料を使用しています。これにより、高い有効性と安全性を兼ね備えた製品を提供し、医療や美容の分野で幅広く活用できる環境を整えています。
詳しくは、「院内調剤および化粧品原料としての成長因子の製造販売」のページをご覧ください。
■品質検査事業
当社の再生医療事業において製造される特定細胞加工物は、出荷前に厳格な安全性試験をクリアする必要があります。
具体的には、無菌試験、エンドトキシン試験、マイコプラズマ否定試験の各項目において、陰性または検出限界以下であることを確認することが必須です。これらの試験は、再生細胞薬の安全性を確保するうえで極めて重要なプロセスとなります。
当社では、安全性試験の精度を徹底的に追求し、GMPや日本薬局方に準拠した各種試験方法を導入しています。
特に、無菌試験においては、さまざまな目的に対応できるよう複数の試験法を運用しています。具体的には、直接法やメンブレンフィルター法 に加え、迅速法としてのバクテアラート法、さらには超迅速無菌試験としてリアルタイムPCRを活用した核酸増幅法など、多様な無菌試験法を採用しています。
また、エンドトキシン試験やマイコプラズマ否定試験についても、複数の試験方法を導入し、より高い精度での検査を可能にしています。さらに、ウイルス否定試験や染色体の核型試験の実施体制も整えており、安全性の確保を徹底しています。
加えて、品質管理の一環として、フローサイトメトリー試験を活用した細胞機能解析を行うほか、ELISA法を用いた成長因子の種類・濃度測定も実施し、製品の品質をより厳密に管理しています。
さらに、環境衛生薬品社やビオメリュー社と業務提携し、常に最新の試験技術を活用できる体制を整えています。これらの安全性試験や品質検査は社内向けにとどまらず、他社や医療機関、学術機関などからの受託や委託にも対応しており、より多くの研究機関や医療現場への貢献を目指しています。
詳しくは、「無菌試験など品質検査の受託委託」のページをご覧ください。
■次世代モジュールCPC|沖縄再生医療センター
■細胞培養加工施設(CPC)の仕様について
当社の 細胞培養加工施設(CPC:Cell Processing Center)は、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に準拠した施設です。一般的に、この法律に基づくCPCは、GMP(薬機法)に準拠するCPCと比較すると、規制が緩やかであり、設備や運用面で十分な厳格性を持たない場合が多いとされています。
こうした課題については、厚生科学審議会 再生医療等評価部会が2022年6月3日に発行した「再生医療等安全性確保法施行5年後の見直しに係る検討のとりまとめ」 においても指摘されており、再生医療の品質と安全性の向上が求められています。
■GMPに準ずるの高水準CPCを実現
これに対し、当社のCPCは「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に準拠しつつ、構造的にはGMP(薬機法)に準ずる仕様となっています。
具体的には、日立グローバルライフソリューションズ社製の次世代モジュールCPC(ファンフィルターユニットによって制御される独自システム)を採用することで、高度な温度・湿度・室圧管理を実現しています。また、各培養室の出入り口にはエアロック室を設置し、高い清浄度を維持する環境を整備 しています。
さらに、清浄度区域、冷蔵・冷凍設備、CO₂インキュベーター(細胞培養装置)などには24時間365日の自動環境モニタリングを導入し、リアルタイムでの管理を可能にしています。加えて、瞬間的な停電(瞬停)対策として、岩谷産業社製のCPC用自家発電システムを導入し、電力供給の安定性を確保しています。
■高度な管理体制の導入
また、細胞製造においては、製造管理システムと再生医療統合管理プラットフォームを運用し、品質の一貫性とトレーサビリティの強化を図っています。これにより、安全で高品質な細胞製品の提供を可能にし、より信頼性の高い再生医療の実現に貢献しています。
■CAD図面の開示
当社の細胞培養加工施設「沖縄再生医療センター」のCAD図面を公開いたします。この図面はスケルトン形式で提供しており、さまざまな視点から施設設計を検証いただけます。具体的には、以下の順で各視点の図面をご覧いただけます。
- 正面図
- 背面図
- 側面図
- 天井面図
施設の構造や配置をより詳細にご確認いただけるよう、視覚的に分かりやすい形式でご提供しております。施設見学も受け入れておりますので、お気軽にお問い合わせください。
■再生医療等の安全性確保に関する法律とは
再生医療は、その革新性と可能性の高さから注目されていますが、新しい技術であるがゆえに、安全性や治療効果の確立が十分でないケースもあります。特に、細胞を利用する治療では、細胞の品質管理や製造プロセスの厳格な管理が不可欠です。
そのため、安全性を確保しつつ、迅速に実用化を進めるために、2014年(平成26年)に「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(通称:再生医療安全確保法)が施行されました。
■再生医療とは
再生医療は、ES細胞(ヒト胚性幹細胞)やiPS細胞(人工多能性幹細胞)、またはその他の有効な細胞を用いて、損傷した臓器や組織を修復・再生し、身体機能の回復を目指す医療です。従来の医薬品や治療法では改善が難しい疾患にも、新たな治療の選択肢を提供することが期待されています。
■再生医療安全確保法の目的
この法律は、再生医療の提供や細胞培養・加工に関するルールを定め、安全性を確保しながら円滑に治療を進めることを目的としています。具体的には、以下のような規制が設けられています。
■再生医療のリスク分類と手続きの明確化
再生医療は、リスクの程度に応じて第一種・第二種・第三種の3つに分類され、それぞれ異なる審査手続きが必要となります。
■再生医療の提供計画の審査制度
再生医療を実施する医療機関は、特定認定再生医療等委員会または認定再生医療等委員会の審査を受け、安全性が確保された計画に基づいて治療を行う必要があります。
■細胞培養・加工の外部委託のルール化
医療機関が細胞の培養や加工を外部に委託する場合、厚生労働省の許可を受けた施設(特定細胞加工物製造許可施設)でなければなりません。これにより、細胞の品質や安全性を高い水準で維持できます。
■再生医療の3つの分類
再生医療は、リスクに応じて第一種・第二種・第三種の3つに分類され、それぞれに異なる手続きや審査が適用されます。
■第一種再生医療等(高リスク)
- これまでヒトへの実施例が少なく、安全性のデータが十分ではない治療
- 例:ES細胞やiPS細胞を用いた治療、他人由来の幹細胞を利用する治療
- 実施には、厚生労働大臣の認定を受けた「特定認定再生医療等委員会」の審査が必要
■第二種再生医療等(中リスク)
- すでに一定の臨床実績があるものの、リスクが中程度とされる治療
- 例:患者自身の幹細胞を利用する治療(自家脂肪由来幹細胞を用いた治療など)、PRP療法(関節内注射)
- 実施には、特定認定再生医療等委員会の審査が必要
■第三種再生医療等(低リスク)
- 細胞の機能をそのまま活用し、特別な加工を加えないため、比較的リスクが低い治療
- 例:加工を施した体性細胞を用いた治療(関節内注射以外のPRP療法など)、がん免疫療法
- 実施には、認定再生医療等委員会の審査が必要
■再生医療と関連する法律の違い
再生医療に関する法律には、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」以外にも、「薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)」があります。それぞれの対象範囲の違いを簡単に説明します。
■再生医療安全確保法
- 対象:医療機関が提供する再生医療全般
- 規制の目的:安全な細胞治療の提供を確保
■薬機法
- 対象:承認された医薬品・再生医療等製品
- 規制の目的:製造販売される再生医療等製品の品質と安全性を確保
例えば、薬機法の対象となる「再生医療等製品」は、製造販売業者が製造し、国の承認を受けたものです。一方で、再生医療安全確保法の対象となる「特定細胞加工物」は、医療機関が個別の治療のために製造・加工する細胞であり、国の承認は不要ですが、安全管理が求められます。
■再生医療安全確保法のまとめ
「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」は、新しい医療である再生医療を、安全かつ適切に提供するための仕組みを定めた法律です。この法律により、再生医療の提供はリスクに応じた分類がなされ、厳格な審査を経て実施されることで、患者にとっての安全性が確保されています。
再生医療は、今後さらに発展する分野であり、その可能性を最大限に活かしながら、安全な治療が受けられるよう、適切な規制と管理が求められています。
当社は、再生医療安全確保法に関する企業や医療機関の手続き支援やコンサルティング、研修プログラムを提供しています。お気軽にお問い合わせください。
■再生医療CMO・CDMOのお問い合わせ
- 試験 機関:由風BIOメディカル沖縄再生医療センター
- 施設 番号:FA7230002
- 施設管理者:中濵数理
- 住 所:沖縄県うるま市字州崎5-1
- 電話 番号:098-923-0037
- 問い合わせ:お問い合わせフォーム
■特定細胞加工物製造許可証
当社の 細胞培養加工施設「沖縄再生医療センター」の許認可証を下記通り公開いたします。