次世代PRP(PCP-FD)とは

次世代PRP(PCP-FD)とは

PRPは、Platelet-Rich Plasma(多血小板血漿療法)の略称で、血小板由来の多様な成長因子を利用する再生医療です。具体的には、血小板濃縮液を特定細胞加工物として調製し、これを投与或いは塗布するによって患部の炎症を抑制し、修復力を高めます。

■代表的な成長因子種(有効成分)

PRPに含有される代表的な成長因子とそれぞれの作用は下記通りです。

成長因子種

    血小板由来成長因子
    PDGF-aa, ab, bb
    • 細胞の複製を刺激し、血管形成を促進する
    • 上皮形成を促進する
    • 肉芽組織形成を促進する
    形質転換形成因子
    TGF-β1, β2
    • 細胞外マトリックス形成を促進する
    • 骨細胞の形成を調製する
    血管内皮成長因子
    VEGF
    • 血管形成を促進する
    繊維芽細胞増殖因子
    FGF
    • 内皮細胞および繊維芽細胞の増殖を促進する
    • 血管形成を刺激する
■PRPの代表的な適用症例

このように、血小板そのものに効果があるわけではなく、主たる作用機序が成長因子に起因するため、PRPは再生医療としての様々な症例に適用します。

  • 膝、肘、股関節、肩等の関節症状(第2種再生医療等)
  • 靭帯、腱、筋肉の損傷や炎症(第3種再生医療等)
  • 難治性潰瘍や褥瘡(第3種再生医療等)
  • 重度火傷や重度日焼け(第3種再生医療等)
  • 不妊治療(第2種再生医療)
  • 発毛(第3種再生医療等)etc.

潜在患者数が国内約3000万人ともいわれる変形性膝関節症への適用が有名ですが、半月板損傷やテニス肘に対するスポーツ再生医療や、変形性股関節症や五十肩を含む変形性肩関節症のような整形外科領域での症例数が豊富です。

また、難治性潰瘍(糖尿病性潰瘍、動脈性潰瘍、静脈うっ滞性潰瘍、膠原病・血管炎性潰瘍等の総称)や褥瘡(床ずれ)をはじめとする皮膚症状に対するエビデンスレベルは極めて高く、皮膚科領域や形成外科領域での症例に有効です。

■PRPの種類

現在、PRPは様々な名称で提供されており、その区別が非常にわかりにくいため、代表的なPRPおよび次世代PRPを細胞加工方法ごとに下記通り整理して紹介します。

  • P-PRP(pure PRP):
    血漿と血小板を用いるPRPです。
  • LP-PRP(leukocyte-poor PRP):
    血漿と血小板に加え、少量の白血球を用いるPRPです(白血球中に含有される成長因子も利用します)。
  • LR-PRP(leukocyte-richr PRP):
    血漿と血小板に加え、積極的に白血球を用いるPRPで、2024年現在、最も代表的なPRPです。
  • PFC-FD™(Platelet-Derived Factor Concentrate):
    血小板と白血球から成長因子を生理的食塩水中に抽出し、抽出後の細胞残骸を除去して用いる次世代PRPです。投与時の実行成長因子濃度がLP-PRPの2~5倍程度に高まっており、より高い施術効果が期待されます。FDはフリーズドライ(Freeze Drying:凍結乾燥)の略です。
  • APS™(autologous solution):
    血漿と血小板に加え、積極的に白血球を用いる次世代PRPです。LR-PRPの採血量に対し、約2倍の採血量を確保し、これを高濃縮することで実行成長因子濃度を2~5倍程度に高めており、より高い施術効果が期待されます。

各関節症に保険診療で適用されるヒアルロン酸注射に対し、PRP及び次世代PRPに係る効果の違いや参考価格帯等を下記表にまとめています。

ヒアルロン酸 LR-PRP 次世代PRP_A社 次世代PRP_B社
即時性 ×
持続性 ×
痛み ×
副次症状 ×
採血量
価格帯 保険適用 3~15万円 20万円~30万円 20万円~35万円

■PCP-FDの特徴

PCP(Platelet Concentrate Plasma)-FDは、次世代PRPの一つで当社の独自技術です。FDは、PFC-FD™と同様にフリーズドライの略です。血小板と白血球から特殊な細胞加工プロトコルを用いて成長因子を血漿中に抽出し、投与時の実行成長因子濃度をLP-PRPの15倍程度に高めているのが特徴です。下記図はこの検証結果を示しています(本検証の成長因子種はPDGF-bbです)。

関節注射に際しては、患部にスキャフォールドの形成を促すことができる点が特徴です。スキャフォールドとは、体内での再生誘導のための細胞の周辺環境の足場、注射可能な足場(有効成分の拡散防止)、細胞機能の活性化のための足場などを意味する学術用語です。

フリーズドライ処理することで、保存安定性が高く(室温6ヵ月保存)取扱いが簡易(投与或いは塗布直前に医療用生理的食塩水を加えて水溶液に戻す)な点も特徴です。もちろん、再生医療安全確保法に準拠する出荷前試験項目である無菌試験等の安全性試験を厳格に実施し、安全性を確保して出荷されます。

各関節症に保険診療で適用されるヒアルロン酸注射に対し、PRP及び次世代PRPに係る効果の違いや参考価格帯等を下記表にまとめています。

ヒアルロン酸 LR-PRP 次世代PRP_A社 次世代PRP_B社 PCP-FD
即時性 ×
持続性 ×
痛み ×
副次症状 ×
採血量
価格帯 保険適用 3~15万円 20万円~30万円 20万円~35万円 20万円~30万円

なお、PCP-FDはPFCと同様に細胞残骸を除去して無細胞化することで、再生医療安全確保法適用外のバイオセラピー製品として医療機関にてお取扱い頂くことができます。無細胞化しても成長因子種及び成長因子濃度は変わりません。

■PCP-FDに関するお問い合わせ

当社では、LR-PRP、PFC、PCP-FDを扱っています。多血小板療法に関するお問い合わせは、「お問い合わせフォーム」もしくは「098-923-0037」からお願いします。沖縄県内外に関わらず、医療技術に関するご質問対応や、正看護師同席での医療相談をお受けしております。