PRP(Platelet-Rich Plasma:多血小板血漿)療法の治療メカニズム

PRP(Platelet-Rich Plasma:多血小板血漿)療法の治療メカニズム

PRP療法とは、血小板中に豊富に含まれる成長因子という有用タンパク質を利用して、患部の炎症を抑えたり、傷ついた組織の修復を促したりする再生医療です。その治療効果は、FDA(アメリカ食品医薬品局:日本の厚生労働省に似た役割を持つアメリカの政府機関)からも認められており、慢性アキレス腱炎症や足底腱炎症、テニス肘等の治療に際し、ごく普通に採用されています。

日本国内においても、PRPは、スポーツ再生医療をはじめとする整形外科領域への適用や、皮膚科領域の再生医療として注目されており、年々、実施医療機関数や施術実績数ともに伸びてきている状況です。また、「細胞そのものではなく成長因子を利用する再生医療」であることから効果効能の多様性が期待されており、適用症例の拡大も進んでいます。

■PRPに関するお問い合わせ

当社は、次世代PRPとしてPCP-FDという独自技術を扱っています。PCP-FDに関するお問い合わせは、「お問い合わせフォーム」もしくは「098-923-0037」からお願いします。沖縄県内外に関わらず、医療機関様に対しては医療技術としての照会対応を、患者様に対しては正看護師同席での医療相談をお受けしております。患者様に対しては、PCP-FDを提供可能な医療機関を沖縄県外に関わらず紹介することも可能です。

■PRP関連コンテンツ

PRPの治療メカニズム

日本国内において症例数の非常に多い変形性膝関節症を事例に、PRPの治療メカニズムを説明します。

■健康な状態の膝関節

膝関節は、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの内側の骨)をつなぐ構造体で、半月板、関節軟骨、関節包(かんせつほう)、滑膜(かつまく)、関節液(滑液)によって構成されています。

半月板は、大腿骨と脛骨の間のクッションの役割をしたり、グラグラしないようにしっかりと支えて安定させたりする役割をする繊維軟骨(せんいなんこつ)です。関節軟骨は、大腿骨や脛骨のような硬い骨が互いにぶつかって直接傷つかないよう保護する機能をもつ硝子軟骨(しょうしなんこつ)です。繊維軟骨も硝子軟骨もコラーゲン(膠原繊維)と水分とを主成分に構成されていますが、線維軟骨の方が硝子軟骨より固く「支える力」が強い軟骨です。

関節包とは、関節を囲んでいる袋状の被膜であり、外側が繊維成膜、内側が滑膜でできています。滑膜は、軟骨の働きを助け、膝関節の動きをスムーズにするための重要な役割を果たしています。滑膜からは関節液というムチン様成分(粘性が強い成分でヒアルロン酸のタンパク質複合体)が産生されています。このムチン様成分は、軟骨への栄養補給お役割を担います。また、関節液を滑膜で覆ったビニール袋のような構造は、軟骨がこすれ合う際に骨と骨の間を埋めるクッション剤や潤滑油として機能します。

■変形性膝関節症とは

変形性膝関節症とは、軟骨が加齢や筋肉量の低下などによってすり減り、痛みが生じる病気です。軟骨がすり減ると、軟骨の破片が関節包の内側部分(滑膜部分)を刺激して炎症を生じ、黄色みがかった液体が分泌されて「膝に水がたまった」状態になります。また、骨のへりに棘のような突起物ができたり、骨が変形したりします。さらに大腿骨と脛骨の隙間が狭くなって直接的にぶつかるようになると、炎症が炎症を呼ぶ負のスパイラルに落ち込み、激しい痛みが慢性化してしまいます。

①:軟骨(半月板と関節軟骨)がすり減ります。
②:軟骨の破片が滑膜を刺激して滑膜に炎症を生じます。
③:炎症を生じた滑膜から異常な関節液が分泌されます(水がたまった状態になります)。
④:大腿骨と脛骨が直接ぶつかるようになります。

■変形性膝関節症に対するPRPの効き方

PRPには、血小板に由来する様々な種類の成長因子が含まれおり、関節を構成する各部位の生理活性を多様なメカニズムで刺激します。

  • 血管内皮成長因子(VEGF):
    血管の修復を促します。
  • 血小板由来成長因子(PDGF-aa, ab, bb):
    血管形成を促進し、筋肉組織の修復を促します。
  • 繊維芽細胞増殖因子(FGF):
    繊維芽細胞の増殖を促進し、結合組織の修復を促します。
  • 形質転換形成因子(TGF-β1, β2):
    抗炎症作用があります。また、骨細胞の修復を促します。

即ち、変形性膝関節症の患者様の膝関節内にPRPを投与すると、先ず、滑膜の炎症が抑えられ、関節液の分泌が正常化されます(関節液は、大腿骨と脛骨とのクッション性の潤滑油として機能する他、軟骨に栄養を与える役割があります)。次に、傷ついた軟骨が修復されます(軟骨そのものが完全に修復されるというよりは、損傷した部分が補修されるイメージです)。さらに、大腿骨と脛骨の直接ぶつかっていた部分の骨代謝が改善されます。

このように「炎症が炎症を呼ぶ負のスパイラル」が順次改善されることで、傷ついた筋肉や腱、靭帯など関節周辺組織の自然治癒力も正常化していき、変形性膝関節症の痛みが軽減されます。これが、PRP療法の治療メカニズムです。

■PRP療法で変形性膝関節症を治療した50歳代口コミ

私は50代半ばの会社員で、長年変形性膝関節症に悩まされてきました。階段を上るときや長時間の歩行がつらく、痛みが日々の生活に大きな支障をきたしていました。整形外科でのリハビリや鎮痛薬の処方、さらにはヒアルロン酸の注射など、さまざまな治療を試してきましたが、どれも効果は一時的で、根本的な改善には至りませんでした。

そこで、医師から提案されたPRP治療(自己多血小板血漿療法)を試すことにしました。この治療法は、自分の血液から採取した血小板を注射することで、関節や組織の再生を促すというものでした。自分の体から採取するため、副作用が少ないことが大きな魅力でした。最初は正直なところ半信半疑でしたが、これ以上悪化させたくないという思いから決心しました。

治療は思ったよりもシンプルで、採血後に遠心分離器で血小板を濃縮し、それを膝に注射する形でした。注射自体は多少の痛みを伴いましたが、耐えられないほどのものではありませんでした。治療後の数日は若干の腫れと違和感がありましたが、特に問題はなく、日常生活に支障をきたすこともありませんでした。

効果が感じられたのは治療から約2週間が経過した頃です。膝の痛みが徐々に和らぎ、特に朝起きたときの強張りが減ったのを実感しました。また、以前は少しの歩行でも痛みがあったのですが、最近では30分ほど歩いてもあまり痛みを感じなくなりました。完全に痛みがなくなったわけではありませんが、痛みの度合いがかなり軽減し、生活の質が向上したのを感じています。

PRP治療を受けて良かった点は、痛みが緩和されたことに加えて、何よりも「自分の体が再生している」という安心感が得られたことです。もちろん、効果には個人差があると思いますし、完治を目指す治療ではないため期待のハードルを高くするべきではありませんが、私にとっては大きな前進でした。これからも医師と相談しながら、適切なケアを続けていきたいと思います。