眼科とは
私たちの日常生活は、情報の約8割を「視覚」から得ているといわれています。その「見る力」を支える医療分野が眼科です。眼科は、単に目の病気を治療するだけではなく、人生の質や幸福感に直結する「視力」を守る大切な役割を担っています。
特に近年は、パソコンやスマートフォンの普及によって、目の健康への意識が高まり、老若男女を問わず多くの方が眼科診療を受けるようになりました。目は一度障害を受けると回復が難しいことも多く、眼科の重要性は今後も高まり続けるでしょう。
眼科の基礎知識と役割
眼科は、目の構造や働き、疾患、さらには生活の中での目の使い方まで幅広くカバーする専門分野です。一般の方にとっては、「視力が落ちた」「目がかすむ」といったきっかけで初めて受診することも多いですが、実は多くの疾患が“自覚症状のないまま進行する”という特徴もあります。
さらに、目の病気は放置すると日常生活や仕事、趣味に大きな支障をきたすだけでなく、失明や深刻な視覚障害につながるケースも少なくありません。だからこそ、早期の受診や定期的な健診が強く推奨されているのです。
また、眼科は子どもから高齢者まで年齢を問わず重要な医療分野です。生まれつきの疾患から、加齢に伴う病気、糖尿病や高血圧など全身疾患と関連する病気まで、幅広い層を対象としている点も大きな特徴といえるでしょう。
眼科が扱う主な疾患と症状
眼科では、目そのものに起こる疾患はもちろん、全身の健康状態が目に現れる場合にも対応します。そのため、幅広い病気や症状について深く理解しておくことが、適切な受診や早期治療に結びつきます。
代表的な眼科疾患
まず、眼科でよく扱う主な疾患には、以下のようなものがあります。どれも放置すると視力低下や失明につながるリスクがあるため、違和感を覚えたら早めの受診が大切です。
- 白内障:水晶体が濁る疾患
- 緑内障:眼圧上昇や視神経障害による疾患
- 加齢黄斑変性:網膜中心部の機能低下を伴う疾患
- 糖尿病網膜症:糖尿病による網膜血管障害
- 網膜剥離:網膜が眼底から剥がれる疾患
このような疾患は、高齢化社会や生活習慣病の増加に伴い、患者数も増加傾向にあります。特に緑内障や糖尿病網膜症は、初期には自覚症状が乏しいため、定期的な検査がとても重要です。なお、最近では最新の検査機器や治療法の発展により、早期発見・早期治療のチャンスも広がっています。
眼科でよく見られる症状
また、目の疾患は症状として現れる場合も多く、その種類や現れ方もさまざまです。代表的な症状を挙げてみます。
- 視力低下:物が見えにくくなる状態
- かすみ目:視界がぼやける状態
- 目の痛み:眼部の疼痛
- 充血:眼球の血管が赤く目立つ状態
- 飛蚊症:視界に糸くずや点が浮かぶ状態
これらの症状は一時的なものから慢性的なものまで幅広く、「疲れ目」と軽視されがちですが、重篤な疾患の前兆である場合もあります。しかし、早めの対応によって失明リスクを回避できる場合が多いので、少しでも気になる症状があれば専門医の診察を受けることが肝心です。
眼科医の診療内容と検査
眼科の診療は、単に症状を聞くだけでなく、多角的かつ体系的な検査を組み合わせることで精密な診断を可能にしています。ここでは、一般的にどのような診療・検査が行われるのかをご紹介します。
主な診療と検査方法
まず、眼科で行われる主な検査には以下のようなものがあります。症状や年齢によって検査内容が異なる場合もありますが、どれも“目の健康”を守るために欠かせません。
- 視力検査:眼の見え方を調べる検査
- 眼圧測定:眼球内圧を測定する検査
- 眼底検査:網膜や視神経の状態を観察する検査
- 細隙灯顕微鏡検査:前眼部や水晶体を詳しく観察する検査
- 視野検査:見える範囲や感度を測定する検査
このほかにも、必要に応じて涙液の量や角膜の厚さなどを測る特殊な検査が行われることもあります。さらに、検査結果に基づいて患者一人ひとりに最適な治療方針を提案するのが眼科診療の特徴です。定期検査は、病気の早期発見だけでなく、経過観察や治療効果の確認にも役立ちます。
診察時の主な流れ
一般的な眼科診察の流れも知っておくと安心です。ここでは標準的な受診のプロセスを簡単にご紹介します。
- 問診:症状や既往歴の確認
- 視力測定:視力の確認
- 各種検査:必要な眼科検査の実施
- 診断:医師による病名や治療方針の説明
- 治療提案:点眼薬や手術などの治療方法の提案
こうした流れを事前に理解しておくことで、初診の際の不安も軽減されます。特に初めて眼科を受診する場合や、検査が複数回に及ぶ場合には、疑問や不安を医師やスタッフに遠慮なく伝えることが大切です。また、定期的な通院や経過観察が必要なケースも多いため、長いお付き合いになることも珍しくありません。
眼科の治療方法と特徴
目の疾患には多様な治療方法があり、疾患の種類や進行度、患者のライフスタイルに合わせて適切な方法が選択されます。どの治療法も、“視力の維持と改善”を目指して行われる点が共通しています。
代表的な治療法
実際に眼科で行われる主な治療法を紹介します。症状や疾患により、組み合わせて治療が進められることもあります。
- 点眼薬治療:症状や疾患に応じた点眼薬の使用
- 内服薬治療:全身状態や疾患に応じた内服薬の使用
- レーザー治療:網膜疾患や緑内障などに対するレーザー治療
- 手術治療:白内障手術や硝子体手術などの外科的治療
- 注射治療:抗VEGF薬などを眼内に注射する治療
例えば、白内障手術は日帰りで行えるケースも増えていますし、糖尿病網膜症などはレーザー治療や注射による最新の治療法も登場しています。いずれも“患者さんの目の状態”に応じて最適な方法が選ばれますが、不安な点や疑問は納得するまで医師に相談しましょう。
治療法選択時のポイント
治療方法の選択は、医師の判断だけでなく、患者さんご本人の生活スタイルや希望も重視されます。以下のポイントが治療選択の際の判断材料となります。
- 疾患の種類:病気の内容により治療法が異なる
- 進行度:症状や疾患の進行状況を考慮
- 全身状態:他の持病や体調も考慮
- 生活への影響:治療後の生活の質も考慮
- 患者の希望:患者の意向や希望も尊重
このように治療選択には多角的な視点が必要であり、患者と医療者が“共に納得できる”治療を選ぶことが大切です。最近では、患者のQOL(生活の質)向上を最重視する考え方が主流となっています。何か迷うことがあれば、必ず率直に相談してみてください。
眼科受診のタイミングと注意点
「目の異常は見逃しやすい」といわれますが、だからこそ“違和感”を覚えたときの早めの受診が極めて重要です。症状が軽いうちから適切な診断を受けることで、重症化や後遺症のリスクを大きく減らすことができます。
受診が必要な主なケース
下記のような症状が現れた場合には、ためらわずに眼科を受診しましょう。どれも放置せず、少しでも早く専門医に相談することが大切です。
- 急な視力低下:突然視力が落ちた場合
- 強い目の痛み:激しい痛みが出た場合
- 異物感や異常な分泌物:異常を感じた場合
- 光視症や飛蚊症の急増:急な変化があった場合
- 慢性的な症状:長引く違和感やかゆみ
特に急な視力障害や激しい痛みは、早期治療が視力回復のカギとなる緊急疾患の可能性もあります。また、慢性的な症状でも、生活の質を損なうだけでなく、放置すれば重症化することもあるため、気になる変化を感じたら受診をためらわないことが大切です。
受診時の注意事項
実際に受診する際には、次のポイントを押さえておくと診察や治療がスムーズに進みます。準備を怠らず、正確な情報を伝えることで、より適切な診断・治療が受けられます。
- 症状の詳細記録:いつからどんな症状があるか記録
- 服薬歴の確認:使用中の薬や過去の治療歴を整理
- 他の疾患の有無:持病がある場合は医師に伝達
- アレルギー情報の確認:薬剤アレルギーなども伝達
- 視力低下の場合の運転控え:安全面にも注意
これらの準備をすることで、限られた診察時間を有効に使い、医師とのコミュニケーションも円滑になります。なお、質問したいことや気になる点は、あらかじめメモしておくと安心です。また、運転や日常生活への影響についても医師にしっかり相談しましょう。
まとめ
このように、眼科は「見る力」を守り、人生の質を支えるために欠かせない診療科です。目は身体の中でも繊細で重要な器官の一つですが、異常に気づきにくく、つい後回しになりがちです。だからこそ、普段から目の健康を意識し、些細な変化にも注意を払いましょう。
また、現代社会はスマートフォンやパソコン、タブレットなどのデジタル機器を使う機会が増え、目への負担が高まっています。定期的な検診や早期の受診が、視力の維持や重篤な疾患の予防につながります。目に少しでも異常を感じたら、自己判断せず、早めに眼科専門医を受診しましょう。
今後も眼科医療は進歩を続け、新しい治療法や検査技術が次々と登場しています。「見える喜び」「見える安心」を生涯守るために、積極的に眼科を活用していくことをおすすめします。
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執筆者
■博士(工学)中濵数理
- 由風BIOメディカル株式会社 代表取締役社長
- 沖縄再生医療センター:センター長
- 一般社団法人日本スキンケア協会:顧問
- 日本再生医療学会:正会員
- 特定非営利活動法人日本免疫学会:正会員
- 日本バイオマテリアル学会:正会員
- 公益社団法人高分子学会:正会員
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