ためしてガッテンで話題の血圧を下げる方法を医学的に検証|高血圧対策ガイド

ためしてガッテンで話題の血圧を下げる方法を医学的に検証|高血圧対策ガイド

高血圧は日本人の約3人に1人が抱える国民病であり、脳卒中や心筋梗塞などの重大な心血管疾患の最大のリスク因子です。NHKの人気番組「ためしてガッテン」では、タオルグリップ法インターバル速歩など、家庭で簡単に実践できる血圧を下げる方法が数多く紹介され、視聴者から大きな反響を呼びました。しかし、バラエティ番組の情報をそのまま鵜呑みにすることは危険です。本記事では、ためしてガッテンで紹介された血圧を下げる方法について、最新の医学研究と臨床データに基づいた科学的検証を行い、どの方法が本当に効果的で、どのような注意点があるのかを徹底的に解説します。

血圧を下げる方法として、ためしてガッテンでは主に食事療法、運動療法、生活習慣の改善という三つの柱が取り上げられてきました。特に「塩出しミネラル」というDASH食の概念や、タオルを握るだけで血圧が下がるというタオルグリップ法は、視聴者の注目を集めました。これらの方法は確かに科学的根拠がありますが、番組の演出上、効果が過大に表現されていたり、重要な注意事項が省略されていたりするケースもあります。本記事では、日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2019」【文献1】や国内外の臨床研究論文に基づき、ためしてガッテンで紹介された血圧を下げる方法の真の効果と限界を明らかにします。

高血圧の管理において最も重要なのは、一時的な血圧低下ではなく、長期的かつ持続的な血圧コントロールです。ためしてガッテンで紹介された方法の中には、短期的には効果があっても継続が困難なもの、あるいは特定の条件下でしか効果が発揮されないものも含まれています。本記事では、DASH食による降圧効果【文献2】、有酸素運動の系統的レビュー【文献3】、減塩の長期効果【文献4】など、複数の高品質な臨床研究を引用しながら、血圧を下げる方法を科学的に評価します。また、家庭血圧測定の重要性や、薬物療法との併用についても詳しく解説し、読者が自分に最適な血圧管理法を選択できるよう支援します。

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高血圧のメカニズムと日本人特有のリスク

高血圧は血管壁に持続的に高い圧力がかかる状態であり、日本高血圧学会の診断基準では診察室血圧で140/90mmHg以上、家庭血圧で135/85mmHg以上と定義されています【文献1】。高血圧が長期間続くと、血管壁が傷つき動脈硬化が進行することで、脳卒中、心筋梗塞、心不全、慢性腎臓病などの重篤な合併症を引き起こします。日本人は遺伝的に塩分感受性が高い民族であり、食塩摂取量の多さが高血圧の主要な原因となっています。国民健康・栄養調査によれば、日本人の平均食塩摂取量は約10gであり、日本高血圧学会が推奨する6g未満という目標値を大きく上回っています【文献5】。したがって、血圧を下げる方法として減塩は最も基本的かつ重要な対策です。

高血圧による健康リスクは極めて深刻です。国立循環器病研究センターの吹田研究では、血圧が高くなるほど循環器疾患の発症率が上昇することが明確に示されており、正常高値血圧(130-139/85-89mmHg)の段階でも、正常血圧の人と比較してリスクが高いことが判明しています【文献6】。さらに、高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれるように自覚症状がほとんどないため、多くの人が自分が高血圧であることに気づかないまま重大な合併症を発症します。ためしてガッテンでも「血圧サージ」という急激な血圧上昇が取り上げられましたが、これは起床時や入浴時などに血圧が急上昇する現象で、脳卒中のリスクを高めることが研究で示されています。

血圧上昇のメカニズムは複雑ですが、主要な要因は塩分の過剰摂取、肥満、運動不足、ストレス、遺伝的素因です。塩分(ナトリウム)を過剰に摂取すると、血液の浸透圧を一定に保つために血液中の水分量が増加し、循環血液量が増えることで血管壁への圧力が高まります。また、肥満では内臓脂肪から分泌されるアディポサイトカインという物質が血管収縮を促進し、交感神経系の活動を亢進させることで血圧を上昇させます【文献7】。運動不足は血管の柔軟性を低下させ、血管内皮細胞の機能不全を引き起こすため、血圧が上がりやすくなります。血圧を下げる方法を実践する際には、これらの要因を総合的に改善することが不可欠です。

■1. ためしてガッテンで紹介された高血圧の原因

ためしてガッテンでは、高血圧の原因として塩分の過剰摂取が最も強調されていました。番組では「日本人は世界でも有数の塩分摂取大国」であり、醤油や味噌などの調味料文化が高血圧の背景にあると説明されていました。この点については医学的にも正しく、疫学研究により食塩摂取量と血圧の間には明確な正の相関があることが実証されています【文献4】。しかし、番組では塩分以外の要因、特に遺伝的素因や加齢による血管の硬化については詳しく触れられておらず、視聴者に「塩分さえ控えれば高血圧は防げる」という誤解を与えた可能性があります。

実際には、高血圧の発症には遺伝的要因が大きく関与しており、両親が高血圧の場合、子どもが高血圧になるリスクは約2倍になることが知られています。また、加齢に伴って血管壁の弾力性が低下し、動脈硬化が進行することも血圧上昇の重要な要因です。したがって、血圧を下げる方法として減塩だけでは不十分であり、運動療法による血管機能の改善、体重管理、ストレス対策など、多角的なアプローチが必要です。ためしてガッテンの情報は入り口としては有用ですが、それだけに頼るのではなく、医師の指導のもとで総合的な高血圧管理を行うことが重要です。

[1] 塩分感受性と日本人の体質

塩分感受性とは、食塩摂取量の変化に対する血圧の反応性のことであり、塩分感受性が高い人ほど食塩を摂取した際に血圧が上昇しやすくなります。日本人は遺伝的に塩分感受性が高い民族であることが複数の研究で示されており、欧米人と比較して同じ量の食塩を摂取しても血圧上昇が大きいことが明らかになっています【文献8】。この遺伝的特性は、日本人が伝統的に魚や野菜を保存するために塩漬けを多用してきた食文化と密接に関連していると考えられています。血圧を下げる方法として、日本人には特に減塩が効果的である理由がここにあります。

  • 日本人の約半数は塩分感受性が高く、減塩による降圧効果が顕著に現れる。
  • 塩分感受性は加齢とともに高まり、高齢者ほど減塩の効果が大きい。
  • 腎機能が低下している人は塩分感受性が高く、減塩が特に重要である。
  • 遺伝的に塩分感受性が低い人でも、長期的な食塩過剰摂取は動脈硬化を促進する。
  • 塩分感受性の検査は専門医療機関で可能だが、一般的には全員が減塩を実践すべきである。

ためしてガッテンでは塩分感受性についての詳しい説明はありませんでしたが、医学的にはこの概念が血圧管理において非常に重要です。塩分感受性が高い人では、食塩摂取量を1日6g未満に制限することで、収縮期血圧が10mmHg以上低下することもあります【文献5】。一方、塩分感受性が低い人でも、減塩は血管への負担を軽減し、長期的な心血管疾患リスクを低下させます。国立循環器病研究センターの減塩プロジェクトでは、食塩摂取量を2mmHg下げるだけで国内の循環器病による死亡を年間2万人減らせると試算されており、血圧を下げる方法としての減塩の重要性は計り知れません【文献6】。

[2] 肥満と内臓脂肪が血圧に与える影響

肥満、特に内臓脂肪の蓄積は高血圧の独立したリスク因子です。内臓脂肪から分泌されるアディポサイトカインは、血管収縮を促進し、インスリン抵抗性を引き起こし、交感神経系を刺激することで血圧を上昇させます【文献7】。ためしてガッテンでも肥満と高血圧の関連は取り上げられましたが、番組では主に「体重を減らせば血圧が下がる」という単純なメッセージに留まっており、内臓脂肪の生理学的メカニズムについては詳しく説明されませんでした。医学的には、BMI(体格指数)が25以上の過体重や、腹囲が男性85cm以上・女性90cm以上のメタボリックシンドロームの基準を満たす場合、高血圧のリスクが大幅に増加します。

  • 体重が1kg減少すると、収縮期血圧が約1~2mmHg低下する【文献9】。
  • 内臓脂肪の減少は、体重減少以上に血圧低下効果が大きい。
  • 肥満者では、減量により降圧薬の減量や中止が可能になることがある。
  • 適度な運動と食事制限を組み合わせた減量が最も効果的である。
  • 急激な体重減少ではなく、月に1~2kgの緩やかな減量が推奨される。

血圧を下げる方法として体重管理を実践する際には、単にカロリー制限だけでなく、栄養バランスの良い食事と適度な運動を組み合わせることが重要です。ためしてガッテンでは運動による減量効果が強調されていましたが、実際には食事療法と運動療法を併用することで最も高い効果が得られます。また、体重減少により血圧が改善しても、リバウンドすれば再び血圧が上昇するため、生涯にわたって維持可能な生活習慣を確立することが不可欠です。国立循環器病研究センターの研究では、内臓脂肪が減少すると血管内皮機能が改善し、血圧低下だけでなく動脈硬化の進行抑制効果も得られることが示されています【文献6】。

■2. ためしてガッテンが見落とした高血圧のリスク

ためしてガッテンは視聴者にわかりやすく情報を伝えることを優先するため、医学的に重要な情報が省略されることがあります。特に見落とされがちなのが、二次性高血圧の存在です。二次性高血圧とは、腎臓病、内分泌疾患、睡眠時無呼吸症候群などの他の疾患が原因で高血圧が引き起こされる状態であり、高血圧患者の約10%を占めます。二次性高血圧では、原因疾患を治療しない限り、いくら減塩や運動を頑張っても血圧は十分に下がりません。ためしてガッテンでは主に本態性高血圧(原因不明の高血圧)に焦点が当てられており、二次性高血圧については触れられていませんでした。

また、番組では高血圧の合併症として脳卒中や心筋梗塞が取り上げられましたが、慢性腎臓病や認知症といった他の重要な合併症については十分に説明されていませんでした。高血圧は腎臓の血管を損傷し、慢性腎臓病を進行させ、最終的には透析が必要になることがあります。さらに、近年の研究では、中年期の高血圧が将来の認知症リスクを高めることが明らかになっています。血圧を下げる方法を実践することは、単に脳卒中や心筋梗塞を予防するだけでなく、腎臓を守り、認知機能を維持するためにも極めて重要なのです。

[1] 睡眠時無呼吸症候群と高血圧の関連

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が一時的に停止する疾患であり、高血圧患者の30~50%に合併していることが知られています【文献10】。睡眠時無呼吸症候群では、呼吸が停止するたびに血中の酸素濃度が低下し、これに対応して交感神経が強く刺激され、血圧が急上昇します。この血圧上昇が夜間に繰り返されることで、24時間を通じて血圧が高い状態が続き、治療抵抗性高血圧の原因となります。ためしてガッテンでは睡眠と血圧の関係については取り上げられましたが、睡眠時無呼吸症候群という具体的な疾患については詳しく説明されませんでした。

睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、専門医による睡眠ポリグラフ検査を受けることが推奨されます。診断が確定した場合、CPAP療法により夜間の呼吸停止が防がれ、睡眠の質が改善されることで、夜間の血圧上昇が抑制され、血圧を下げる効果が得られます。日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2019でも、治療抵抗性高血圧の患者には睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングを行うことが推奨されています【文献1】。ためしてガッテンの情報だけでは不十分な場合もあるため、血圧が十分に下がらない場合は、必ず医師に相談し、二次性高血圧や睡眠時無呼吸症候群の可能性を検討することが重要です。

[2] 薬物療法との併用の重要性

ためしてガッテンでは、生活習慣の改善による血圧管理が強調される一方で、降圧薬の役割についてはあまり触れられていませんでした。しかし、医学的には、血圧がⅡ度高血圧以上(160/100mmHg以上)の場合や、心血管疾患のリスクが高い場合には、生活習慣の改善と同時に降圧薬による治療を開始することが推奨されています【文献1】。降圧薬は血圧を確実に下げることで、脳卒中や心筋梗塞のリスクを大幅に減少させる効果が多数の臨床試験で実証されています。血圧を下げる方法として、生活習慣の改善だけで不十分な場合は、適切な薬物療法を併用することが不可欠です。

  • Ⅱ度高血圧以上(160/100mmHg以上)では、降圧薬による治療が推奨される【文献1】。
  • 心血管疾患、糖尿病、慢性腎臓病などの合併症がある場合は、より早期から降圧薬を使用する。
  • 降圧薬には複数の種類があり、患者の状態に応じて最適な薬剤が選択される。
  • 生活習慣の改善と降圧薬を併用することで、最も高い降圧効果が得られる。
  • 降圧薬を服用していても、生活習慣の改善を継続することで薬の減量が可能になる場合がある。

降圧薬を服用している患者でも、ためしてガッテンで紹介されたような生活習慣の改善を実践することは非常に有効です。減塩、DASH食、運動療法などを併用することで、降圧薬の効果が増強され、場合によっては薬の減量や種類の変更が可能になります。ただし、降圧薬の調整は必ず医師の指導のもとで行う必要があり、自己判断で服用を中止することは極めて危険です。血圧を下げる方法として、生活習慣の改善と薬物療法を適切に組み合わせることが、高血圧管理の最も効果的なアプローチです。



DASH食:ためしてガッテンの「塩出しミネラル」を科学的に検証

ためしてガッテンでは、カリウムを多く含む食材を積極的に摂取することで体内のナトリウムを排出し、血圧を下げる方法として「塩出しミネラル」という概念が紹介されました。この概念は医学的にはDASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension:高血圧を防ぐ食事方法)として知られており、1990年代にアメリカ国立衛生研究所(NIH)が提唱した科学的根拠に基づいた食事療法です【文献2】。DASH食の最大の特徴は、単に塩分を減らすだけでなく、カリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維などの栄養素を積極的に摂取することで、ナトリウムの排出を促進し、血圧を下げる効果を高める点にあります。

DASH食の効果は複数の大規模臨床試験で実証されています。最も有名な研究では、DASH食を8週間実践した高血圧患者において、収縮期血圧が平均11.4mmHg、拡張期血圧が5.5mmHg低下したという顕著な結果が報告されています【文献2】。さらに、DASH食と減塩を組み合わせたDASH-Sodium食では、より高い降圧効果が得られることが証明されており、収縮期血圧が最大20mmHg低下した例も報告されています。これは降圧薬に匹敵する効果であり、血圧を下げる方法としてDASH食が極めて有効であることを示しています。ためしてガッテンで紹介された「塩出しミネラル」は、DASH食の本質を簡潔に表現したものといえます。

日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2019でも、DASH食は降圧のための食事療法として十分なエビデンスがあるとして推奨されています【文献1】。DASH食の基本は、野菜、果物、低脂肪乳製品、全粒穀物、魚、豆類、ナッツ類を豊富に含み、逆に脂肪分の多い肉類や砂糖を含む甘いものを控えることです。この食事パターンは日本の伝統的な和食とも共通点が多く、日本人の食生活に適応しやすいという利点があります。ためしてガッテンの情報を実践する際には、単にカリウムを摂取するだけでなく、DASH食の全体的な食事パターンを理解し、バランスの良い食生活を心がけることが重要です。

■1. ためしてガッテンの「塩出しミネラル」の科学的根拠

ためしてガッテンで紹介された「塩出しミネラル」とは、カリウムを豊富に含む食材を摂取することで、体内のナトリウム(塩分)を尿中に排出し、血圧を下げるという概念です。この仕組みは医学的に正しく、カリウムには腎臓でのナトリウム再吸収を阻害し、尿中へのナトリウム排出を促進する作用があることが研究で実証されています【文献11】。また、カリウムは血管壁の平滑筋に作用して血管を拡張させる効果もあり、これらの複合的なメカニズムによって血圧が低下します。ためしてガッテンでは、ほうれんそう、じゃがいも、バナナ、わかめなどカリウムを多く含む食材が紹介されました。

しかし、番組では説明が不十分だった点もあります。まず、カリウムの過剰摂取は腎機能が低下している人では高カリウム血症を引き起こすリスクがあるため、慢性腎臓病の患者ではカリウム摂取を制限する必要があります【文献1】。番組では「カリウムを積極的に摂取しましょう」というメッセージが強調されましたが、腎臓病患者への注意喚起は不十分でした。また、カリウムだけでなく、カルシウムやマグネシウムも血圧低下に重要な役割を果たすため、特定の栄養素だけに偏らず、バランスの良い食事を心がけることが重要です。血圧を下げる方法として、DASH食全体を理解し実践することが推奨されます。

[1] カリウムの作用機序と推奨摂取量

カリウムが血圧を下げるメカニズムは複数あります。第一に、カリウムは腎臓の遠位尿細管でナトリウムの再吸収を競合的に阻害し、ナトリウムの尿中排泄を促進します。第二に、カリウム血管内皮細胞に作用し、血管拡張物質である一酸化窒素(NO)の産生を促進することで、血管を拡張させます【文献11】。第三に、カリウム交感神経系の活動を抑制し、血管収縮を緩和します。これらの作用により、カリウムを十分に摂取することで血圧が低下します。日本高血圧学会では、1日のカリウム推奨摂取量を3500mg以上としています【文献1】。

カリウムを効果的に摂取するためには、野菜や果物を毎日十分に食べることが重要です。ためしてガッテンで紹介されたように、ほうれんそう(1束で約700mg)、じゃがいも(中1個で約410mg)、バナナ(1本で約360mg)、アボカド(1個で約720mg)、わかめ(乾燥10gで約520mg)などはカリウムを多く含む代表的な食材です。ただし、これらの食材だけに頼るのではなく、多種多様な野菜と果物をバランスよく摂取することで、カリウム以外のビタミンやミネラルも同時に摂取でき、血圧を下げる効果が高まります。また、腎機能が低下している場合は、医師の指示に従ってカリウム摂取量を調整する必要があります。

[2] DASH食の具体的な実践方法と日本人への適応

DASH食を日本人の食生活に取り入れるためには、伝統的な和食の良さを活かしつつ、現代的な栄養バランスを考慮することが重要です。DASH食の基本構成は、1日に野菜と果物を合わせて8~10サービング(約600~800g)、全粒穀物を6~8サービング、低脂肪乳製品を2~3サービング、魚や鶏肉などのタンパク質源を適量摂取することです【文献2】。ためしてガッテンでは「1日1食からでもDASH食を始めましょう」と推奨されていましたが、これは医学的にも妥当なアプローチです。山口大学と九州女子大学の共同研究では、1日1食型DASH食でも血圧低下効果が認められています【文献12】。

  • 1日1食からDASH食を始め、徐々に他の食事にも広げることが推奨される【文献12】。
  • 白米を玄米や雑穀米に置き換えることで、マグネシウムと食物繊維の摂取量が増える。
  • みそ汁の具を増やし、野菜を多く摂取することで自然と汁の量が減り減塩になる。
  • 魚や大豆製品を主菜とし、赤肉(牛肉・豚肉)の摂取頻度を減らす。
  • 間食として果物やナッツ類を選ぶことで、カリウムとマグネシウムを補給できる。

DASH食を実践する際の最大の課題は継続性です。ためしてガッテンでは簡単で実践しやすい方法が紹介されましたが、実際には味付けの調整や食材の選択に慣れるまで時間がかかることがあります。国立循環器病研究センターの「かるしおレシピ」のように、減塩でも美味しく食べられる調理法を学ぶことが、DASH食を継続する上で重要です【文献6】。また、外食が多い人でも、魚料理や野菜中心のメニューを選び、ドレッシングや調味料を控えめにすることで、DASH食の原則を取り入れることができます。血圧を下げる方法として、無理のない範囲でDASH食を生活に組み込むことが長期的な成功につながります。

■2. ためしてガッテンが省略したDASH食の注意点

ためしてガッテンでは、DASH食の利点が強調される一方で、注意すべき点についてはほとんど触れられませんでした。最も重要な注意点は、慢性腎臓病患者ではカリウムとリンの摂取制限が必要であるため、DASH食が適さない場合があることです【文献1】。腎機能が低下している患者では、カリウムの排泄能力が低下しているため、高カリウム血症を引き起こすリスクがあります。また、DASH食は野菜や果物を多く摂取するため、全体的な食事量が増え、カロリー過多になる可能性もあります。血圧を下げる方法としてDASH食を実践する際には、自分の健康状態を考慮し、必要に応じて医師や栄養士に相談することが重要です。

また、ためしてガッテンではDASH食の効果が短期間で現れるような印象を与える演出がありましたが、実際には効果が実感できるまでに数週間から数ヶ月かかることが一般的です。臨床試験では8週間の実践で有意な血圧低下が認められていますが【文献2】、個人差も大きく、すぐに劇的な効果が出るわけではありません。また、DASH食だけで高血圧が完治するわけではなく、Ⅱ度高血圧以上の場合は降圧薬との併用が必要です。番組の情報だけで「薬を飲まなくても大丈夫」と自己判断することは危険であり、必ず医師の指導のもとで血圧管理を行うべきです。

[1] 腎臓病患者におけるカリウム制限の必要性

慢性腎臓病(CKD)では、腎臓のカリウム排泄能力が低下しているため、カリウムを多く含む食品を制限する必要があります。高カリウム血症は不整脈を引き起こし、最悪の場合、心停止に至る危険があります【文献13】。ためしてガッテンでは「カリウムをたくさん摂りましょう」というメッセージが強調されましたが、腎臓病患者への注意喚起が不十分だったため、視聴者の中には誤った理解をした人もいた可能性があります。日本高血圧学会のガイドラインでも、腎機能低下患者ではDASH食の適用に注意が必要であると明記されています【文献1】。

  • 慢性腎臓病ステージG3b以降(eGFR45未満)では、カリウム摂取制限が必要である【文献13】。
  • 血清カリウム値が5.5mEq/L以上の高カリウム血症では、カリウム制限が必須である。
  • 腎臓病患者では、生野菜よりも茹でた野菜を選ぶことでカリウム摂取を減らせる。
  • 果物やイモ類、豆類はカリウムが多いため、腎臓病患者では摂取量を制限する。
  • 血圧を下げる方法として、腎臓病患者は医師や管理栄養士の指導を受けるべきである。

腎臓病患者が血圧を下げる方法としては、カリウムではなく、減塩を最優先とすることが推奨されます。食塩摂取量を1日6g未満、場合によっては3g未満に制限することで、血圧を低下させるとともに、腎機能の悪化を抑制できます【文献13】。また、タンパク質の摂取量も制限が必要な場合があり、腎臓病の進行度に応じて個別化された食事指導が必要です。ためしてガッテンの情報は一般的な高血圧患者には有用ですが、基礎疾患がある場合は必ず医療専門家に相談することが不可欠です。

[2] DASH食と薬物療法の併用効果

DASH食降圧薬と併用することで、相乗効果が得られることが研究で示されています。降圧薬を服用している患者がDASH食を実践した場合、薬の効果が増強され、より良好な血圧コントロールが可能になります【文献14】。また、DASH食により血圧が十分に低下した場合、医師の判断により降圧薬の減量や種類の変更が可能になることもあります。ためしてガッテンでは生活習慣改善が中心に取り上げられましたが、実際の臨床では薬物療法と生活習慣改善を適切に組み合わせることが、血圧を下げる方法として最も効果的なアプローチです。

  • DASH食降圧薬を併用することで、より高い降圧効果が得られる【文献14】。
  • DASH食により血圧が改善した場合、降圧薬の減量が可能になることがある。
  • 降圧薬を服用している患者でも、DASH食を継続することで心血管疾患リスクが低下する。
  • 降圧薬の調整は必ず医師の指導のもとで行い、自己判断で中止してはならない。
  • DASH食は降圧効果だけでなく、脂質プロファイルや血糖値の改善効果もある。

降圧薬を服用している患者が血圧を下げる方法としてDASH食を取り入れる場合、定期的に血圧を測定し、その結果を医師に報告することが重要です。家庭血圧測定により、DASH食の効果を客観的に評価できます。また、DASH食高血圧だけでなく、脂質異常症、糖尿病、メタボリックシンドロームなど他の生活習慣病の改善にも有効であるため、総合的な健康増進効果が期待できます【文献2】。ためしてガッテンの情報を実践する際には、医療専門家と連携しながら、自分に最適な血圧管理法を確立することが成功の鍵です。



運動療法:ためしてガッテンのタオルグリップ法とインターバル速歩を検証

ためしてガッテンで最も話題になった血圧を下げる方法の一つが、タオルを握るだけで血圧が下がるという「タオルグリップ法」です。この方法は、カナダのマックマスター大学のフィリップ・ミラー博士が開発した「ハンドグリップ法」をアレンジしたもので、2014年3月26日放送の「ためしてガッテン 世界が注目するハンドグリップ」で紹介されました。番組では、7人の高血圧患者が4週間タオルグリップ法を実践した結果、平均13.6mmHgの血圧低下が認められたと報告されました。しかし、この結果をそのまま鵜呑みにすることには注意が必要です。番組の検証は小規模であり、科学的に厳密な臨床試験とは異なるためです。

タオルグリップ法の科学的根拠について検証すると、ハンドグリップ運動による降圧効果自体は複数の研究で報告されています。アメリカ心臓協会の運動療法ガイドラインでも、ハンドグリップ運動は「グレードⅡB(さらなるデータの蓄積が求められるが、おそらく推奨できる)」と位置づけられています。しかし、この評価は「確実に推奨できる」というレベルではなく、「今後の研究次第」という慎重な評価です。血圧を下げる方法として、タオルグリップ法は補助的な手段としては有用ですが、これだけに頼ることは適切ではありません。日本高血圧学会のガイドラインでは、有酸素運動が最も推奨される運動療法であり、タオルグリップ法については言及されていません【文献1】。

一方、ためしてガッテンで紹介されたもう一つの運動法である「インターバル速歩」については、信州大学の研究グループが長年にわたる研究を行っており、科学的根拠が比較的しっかりしています。インターバル速歩とは、「速く歩く3分」と「ゆっくり歩く3分」を交互に繰り返す運動方法で、通常のウォーキングよりも高い降圧効果が得られることが報告されています。ただし、こちらも万能ではなく、膝や腰に問題がある人、重度の高血圧患者には適さない場合があります。血圧を下げる方法として運動療法を選択する際には、自分の体力や健康状態に合った方法を選ぶことが重要です。

■1. タオルグリップ法の科学的根拠と限界

タオルグリップ法のメカニズムは、タオルを握ることで前腕の筋肉が収縮し血管が圧迫されて血流が低下し、その後握力を緩めると血管が拡張して血流が回復する際に、血管内皮細胞から一酸化窒素(NO)が産生されることで血管が柔らかくなり、血圧が低下するというものです。この理論自体は医学的に妥当であり、一酸化窒素が血管拡張作用を持つことは1998年にノーベル生理学・医学賞を受賞した研究で証明されています。しかし、タオルグリップ法が本当に臨床的に有意な降圧効果を持つかについては、大規模な無作為化比較試験が不足しており、エビデンスレベルは高くありません。

ためしてガッテンでの検証では、7人中6人に効果があり、平均13.6mmHgの血圧低下が認められたとされました。しかし、この検証にはいくつかの問題点があります。第一に、サンプルサイズが非常に小さく、統計的に有意な結論を導くには不十分です。第二に、プラセボ効果(偽薬効果)が考慮されていません。血圧は測定環境や心理状態によって大きく変動するため、「これで血圧が下がる」と信じて実践することで、実際に血圧が下がることがあります。第三に、対照群(タオルグリップ法を実践しない群)との比較が行われていないため、自然経過による血圧変動との区別ができません。血圧を下げる方法としてタオルグリップ法を実践する場合は、これらの限界を理解した上で、補助的な手段として位置づけるべきです。

[1] タオルグリップ法の実践方法と注意点

ためしてガッテンで紹介されたタオルグリップ法の具体的な方法は、フェイスタオルを丸めて筒状にし、最大握力の30~40%の力で2分間握り、1分間休憩するというサイクルを片手で2回行い、もう片方の手でも同様に2回行うというものです。週に3回以上、4週間継続することで効果が現れるとされました。最大握力の30~40%という強度設定には根拠があり、この程度の負荷が血管内皮細胞を刺激するのに最適であるとされています。ただし、最大握力の30~40%を正確に測定することは一般家庭では困難であり、「少し力を入れている」程度の感覚で実践することになります。

  • フェイスタオルを丸めて筒状にし、握った時に親指が他の指につかない太さに調整する。
  • 最大握力の30~40%の力(「少し力を入れている」程度)で2分間握る。
  • 1分間休憩し、同じ手でもう一度2分間握る。
  • 反対の手も同様に2回行い、合計1日10分程度の運動とする。
  • 週に3回以上、4~8週間継続することで効果が期待される。

タオルグリップ法を実践する際の最も重要な注意点は、握っている間も呼吸を止めないことです。いきむと血圧が急上昇し、かえって危険です。また、最大血圧が180mmHg以上の重度の高血圧患者、心臓病患者、不安定狭心症の患者では、実践前に必ず医師に相談する必要があります。ためしてガッテンでは「誰でも簡単にできる」という印象を与える演出がありましたが、実際にはすべての人に適しているわけではありません。血圧を下げる方法として、タオルグリップ法有酸素運動が困難な人(膝や腰に問題がある人、雨天時など)の補助的な選択肢として位置づけるのが適切です。

[2] 有酸素運動との比較:どちらが効果的か

血圧を下げる方法として、タオルグリップ法有酸素運動のどちらがより効果的でしょうか。医学的には、有酸素運動の方が圧倒的に多くのエビデンスがあり、推奨度が高いことは明白です。系統的レビューとメタ解析によれば、週に3~5回、1回30分以上の中等度の有酸素運動を継続することで、収縮期血圧が平均5~8mmHg、拡張期血圧が3~5mmHg低下することが実証されています【文献3】。一方、タオルグリップ法の降圧効果については、大規模な研究が不足しており、効果の程度も個人差が大きいと考えられます。日本高血圧学会のガイドラインでも、運動療法としては有酸素運動が第一選択として推奨されています【文献1】。

ためしてガッテンでは、タオルグリップ法が「運動が苦手な人でもできる画期的な方法」として紹介されましたが、医学的には有酸素運動を第一選択とすべきです。有酸素運動は血圧低下効果だけでなく、心肺機能の向上、体重減少、インスリン感受性の改善、脂質プロファイルの改善など、総合的な健康効果があります【文献3】。タオルグリップ法にはこれらの付加的効果は期待できません。血圧を下げる方法として、まずは無理のない範囲でウォーキングなどの有酸素運動を始め、それが困難な場合にタオルグリップ法を検討するという順序が適切です。

■2. インターバル速歩の科学的根拠と実践法

インターバル速歩は、信州大学の能勢博教授らの研究グループが開発した運動方法で、「速く歩く3分」と「ゆっくり歩く3分」を交互に繰り返すことで、通常のウォーキングよりも高い運動効果が得られるとされています。ためしてガッテンでも紹介され、血圧を下げる方法として注目されました。信州大学の長期研究では、インターバル速歩を週4回以上、5ヶ月間継続した中高年者において、収縮期血圧が平均9mmHg低下し、最大酸素摂取量が約10%向上したという結果が報告されています【文献15】。この研究は比較的規模が大きく、対照群との比較も行われているため、タオルグリップ法と比較してエビデンスレベルが高いといえます。

インターバル速歩の利点は、短時間で効率的に運動効果が得られることです。通常のウォーキングでは1回30分以上が推奨されますが、インターバル速歩では速歩の合計時間が15分程度でも十分な効果が得られます【文献15】。これは、速く歩くことで心拍数が上昇し、筋肉への負荷が高まるため、短時間でも有酸素運動としての効果が高まるためです。また、インターバル速歩は筋力の維持・向上にも効果があり、高齢者のサルコペニア(筋肉量減少)予防にも有用です。血圧を下げる方法として、時間効率を重視する人にはインターバル速歩が適しています。

[1] インターバル速歩の具体的な実践方法

ためしてガッテンで紹介されたインターバル速歩の方法は、「ややきつい」と感じる速さで3分間歩き、その後「楽である」と感じる速さで3分間歩くというサイクルを、5セット(合計30分)繰り返すというものです。「ややきつい」の目安は、歩きながら会話ができるが息が少し上がる程度の強度です。心拍数としては、最大心拍数(220-年齢)の60~70%程度が目安とされています【文献15】。たとえば60歳の人であれば、最大心拍数は160拍/分であり、その60~70%は96~112拍/分となります。実際には心拍数を測定しながら歩くことは困難なので、自覚的な運動強度を目安にすることが一般的です。

  • 「ややきつい」と感じる速さで3分間速歩する(心拍数は最大心拍数の60~70%程度)。
  • 「楽である」と感じる速さで3分間ゆっくり歩く。
  • このサイクルを5セット繰り返し、合計30分の運動とする。
  • 週に4回以上実施することで、5ヶ月程度で効果が現れる【文献15】。
  • 膝や腰に問題がある場合は、速歩の時間を短縮するか、平地でのウォーキングに切り替える。

インターバル速歩を実践する際の注意点は、準備運動とクールダウンを行うこと、脱水を防ぐために適切に水分補給すること、体調が悪い日は無理をしないことです。また、Ⅱ度高血圧以上(160/100mmHg以上)の場合や、心血管疾患がある場合は、運動開始前に必ず医師に相談する必要があります【文献1】。ためしてガッテンでは「誰でもできる」という印象を与える演出がありましたが、実際には運動強度が比較的高いため、普段運動習慣のない人がいきなり始めると、膝や心臓に負担がかかる可能性があります。血圧を下げる方法として、まずは通常のウォーキングから始め、体が慣れてきたらインターバル速歩に移行するという段階的なアプローチが安全です。

[2] 最新研究:運動による降圧効果のメカニズム

運動が血圧を下げるメカニズムについて、2023年に発表された画期的な研究があります。国立循環器病研究センターなどの共同研究グループは、適度な運動中に足の着地時に頭部に伝わる物理的衝撃により、脳内の間質液が動き、血圧調節中枢の細胞に力学的刺激が加わることで、血圧を上げるタンパク質(アンジオテンシン受容体)の発現量が低下し、血圧低下が生じることを世界で初めて明らかにしました【文献16】。この研究成果は英科学誌『Nature Biomedical Engineering』に掲載され、運動による降圧効果の新たなメカニズムとして注目されています。この知見は、ためしてガッテンが放送された後に発表されたものであり、番組では取り上げられていません。

  • 運動中の頭部への物理的衝撃が脳内の血圧調節中枢を刺激する【文献16】。
  • 血圧を上げるアンジオテンシン受容体の発現量が低下することで血圧が下がる。
  • ウォーキングやジョギングなど、着地衝撃のある運動が特に効果的である。
  • 水泳や自転車でも、頭部に0.5G程度の加速度が生じ、同様の効果がある【文献16】。
  • この発見により、運動療法の科学的根拠がさらに強化された。

この最新研究は、血圧を下げる方法としての運動療法の重要性を改めて裏付けるものです。ためしてガッテンで紹介された運動法は、この研究が発表される以前のものですが、結果的には科学的に正しいアプローチであったことが証明されたといえます。ただし、番組では運動の効果がやや過大に表現されていた部分もあり、「すぐに劇的な効果が出る」という誤解を与えた可能性があります。実際には、運動療法の効果が安定して現れるまでには数ヶ月の継続が必要であり、個人差も大きいことを理解した上で実践することが重要です。



家庭血圧測定と血圧サージ対策

ためしてガッテンで大きく取り上げられたテーマの一つが「血圧サージ」です。血圧サージとは、短時間に血圧が急激に上昇する現象で、起床時、排便時、入浴時、ストレスを受けた時などに起こりやすく、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めることが研究で示されています。番組では、24時間血圧測定を用いて血圧サージを検出し、その対策として家庭血圧測定の重要性が強調されました。この点については医学的にも正しく、日本高血圧学会のガイドラインでも家庭血圧測定は高血圧の診断と管理において重要な役割を果たすとされています【文献1】。家庭血圧測定により、診察室では見逃されやすい早朝高血圧仮面高血圧を検出でき、より正確な血圧評価が可能になります。

血圧サージの危険性について、ためしてガッテンでは「血圧の乱高下が血管を傷める」という説明がされました。これは医学的に正しい説明です。血圧が急激に上昇すると、血管壁に強い機械的ストレスがかかり、血管内皮細胞が損傷します。この損傷が繰り返されることで動脈硬化が進行し、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まります。特に早朝の血圧サージは危険であり、脳卒中の発症時刻を調査した研究では、午前6時から正午までの時間帯に最も多く発症することが明らかになっています【文献17】。血圧を下げる方法として、血圧サージを防ぐための生活習慣の工夫が重要です。

ためしてガッテンでは、血圧サージ対策として、起床時にゆっくり体を起こす、寒暖差を避ける、急な運動を避けるなどの具体的な方法が紹介されました。これらは医学的に妥当なアドバイスです。しかし、番組では家庭血圧測定の方法について詳しい説明が不足していました。正しい家庭血圧測定の方法を理解し、毎日継続的に測定することで、自分の血圧変動パターンを把握し、適切な対策を講じることができます。日本高血圧学会では、朝は起床後1時間以内、排尿後、朝食前、降圧薬服用前に測定し、夜は就寝前に測定することを推奨しています【文献1】。血圧を下げる方法の効果を評価するためにも、家庭血圧測定は不可欠なツールです。

■1. ためしてガッテンの血圧サージ理論の検証

ためしてガッテンで紹介された血圧サージの概念は、医学的には「血圧変動性」として研究されている現象です。血圧変動性が大きい人ほど、心血管疾患のリスクが高いことは複数の疫学研究で実証されており、特に早朝の血圧上昇(モーニングサージ)は脳卒中のリスクと強く関連することが知られています【文献17】。番組では、血圧サージを「血圧の乱高下」として視覚的にわかりやすく説明していましたが、医学的にはより複雑な現象です。血圧変動性には、日内変動(朝と夜の血圧差)、日間変動(日によって異なる血圧値)、訪問間変動(診察ごとに異なる血圧値)など、様々な側面があります。

ためしてガッテンで強調された「起床時の血圧サージ」については、医学的に重要な指摘です。起床時には交感神経が急激に活性化し、血圧が急上昇します。この時、血管壁に強いストレスがかかり、動脈硬化が進行している部位ではプラーク(脂質の塊)が破裂したり、血栓が形成されたりして、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすリスクが高まります。しかし、番組では「すべての血圧上昇が危険」という印象を与える演出があり、視聴者に過度な不安を与えた可能性があります。実際には、健康な人でも血圧は1日の中で20~30mmHg程度変動することは正常であり、問題となるのは変動幅が極端に大きい場合や、夜間の血圧低下が不十分な場合です【文献1】。

[1] 正しい家庭血圧測定の方法

家庭血圧測定を正確に行うためには、測定条件を統一することが重要です。日本高血圧学会のガイドラインでは、朝は起床後1時間以内、排尿後、朝食前、降圧薬服用前に座位で5分間安静にした後に測定し、夜は就寝前に同様に測定することが推奨されています【文献1】。血圧計は上腕式の自動血圧計を使用し、カフ(腕帯)は心臓の高さに合わせます。測定は原則として2回連続して行い、その平均値を記録します。ためしてガッテンでは家庭血圧測定の重要性は強調されましたが、具体的な測定方法についての説明は不十分でした。血圧を下げる方法の効果を正確に評価するためには、正しい測定方法を習得することが不可欠です。

  • 朝は起床後1時間以内、排尿後、朝食前、降圧薬服用前に測定する【文献1】。
  • 夜は就寝前に測定し、1日2回の測定を基本とする。
  • 座位で5分間安静にした後、上腕式自動血圧計で測定する。
  • 2回連続して測定し、その平均値を記録する。
  • 家庭血圧の基準値は135/85mmHg未満である【文献1】。

家庭血圧測定で注意すべき点は、測定前にカフェインやアルコールを摂取しない、測定中は会話をしない、背もたれのある椅子に座り足を床につけた姿勢で測定することです。また、血圧計のカフは素肌に直接巻くか、薄手の衣服の上から巻きます。厚手の衣服の上から測定すると、血圧が高く出ることがあります。ためしてガッテンでは「毎日測定しましょう」と推奨されましたが、測定条件が毎回異なると、血圧値の比較ができなくなります。血圧を下げる方法を実践する際には、正しい測定方法で継続的に記録し、その変化を医師に報告することが重要です。

[2] 血圧サージを防ぐための生活習慣

ためしてガッテンで紹介された血圧サージ対策は、医学的に妥当なものが多く含まれていました。起床時にゆっくり体を起こすことで、急激な血圧上昇を防ぐことができます。目が覚めたら、まず布団の中で手足を軽く動かし、その後ゆっくりと上体を起こし、ベッドの端に腰かけて30秒ほど待ってから立ち上がるという段階的な起床が推奨されます。また、寒暖差も血圧サージの重要な原因であり、冬季には脱衣所や浴室を暖めておく、トイレに暖房を設置するなどの工夫が有効です。これらの対策により、血圧の急激な変動を抑制し、心血管イベントのリスクを低減できます。

  • 起床時は布団の中で手足を動かし、ゆっくりと段階的に体を起こす。
  • 冬季には脱衣所や浴室、トイレを暖めて寒暖差を小さくする。
  • 入浴時は湯温を41度以下にし、急激な温度変化を避ける。
  • 排便時にいきまず、便秘を予防するために食物繊維を十分に摂取する。
  • 朝の急な運動は避け、ウォーミングアップを十分に行う。

血圧サージ対策として、ためしてガッテンでは取り上げられませんでしたが、医学的に重要なのが降圧薬の適切な使用です。早朝高血圧が認められる場合、就寝前に長時間作用型の降圧薬を服用することで、朝の血圧上昇を抑制できます【文献1】。また、自律神経のバランスを整えるために、十分な睡眠、ストレス管理、規則正しい生活リズムを保つことも重要です。血圧を下げる方法として、生活習慣の工夫と必要に応じた薬物療法を組み合わせることで、血圧サージを効果的に予防できます。

■2. ためしてガッテンが見落とした家庭血圧測定の落とし穴

ためしてガッテンでは家庭血圧測定の重要性が強調されましたが、測定に伴う問題点についてはほとんど触れられませんでした。最も重要な問題は、「血圧測定不安症」です。家庭血圧を測定するようになると、血圧の数値に過度に神経質になり、測定のたびに緊張して血圧が上がってしまう人がいます。このような状態では、正確な血圧評価ができないだけでなく、精神的ストレスにより実際に血圧が上昇してしまうこともあります。血圧測定は重要ですが、数値に一喜一憂せず、長期的なトレンドを見ることが大切です。1回の測定値が高かったとしても、それだけで判断せず、数日間の平均値で評価することが推奨されます【文献1】。

また、ためしてガッテンでは触れられませんでしたが、家庭血圧計の精度管理も重要な問題です。血圧計は定期的に校正が必要であり、購入から数年経過した血圧計では測定値にずれが生じることがあります。日本高血圧学会では、家庭血圧計を購入してから1~2年ごとに、医療機関で測定した血圧値と比較して精度を確認することが推奨されています。また、血圧計のカフのサイズが腕の太さに合っていない場合も、測定値が不正確になります。腕周りが細い人や太い人は、専用のカフを使用する必要があります。血圧を下げる方法の効果を正確に評価するためには、血圧計の精度管理を怠らないことが重要です。

[1] 白衣高血圧と仮面高血圧の問題

ためしてガッテンで簡単に触れられた「白衣高血圧」と「仮面高血圧」について、医学的にはより詳しい理解が必要です。白衣高血圧とは、診察室で測定した血圧は高いが、家庭血圧は正常範囲である状態で、緊張や不安により診察室で血圧が上昇する現象です。白衣高血圧は治療の必要性が低いとされてきましたが、近年の研究では、白衣高血圧の人も長期的には高血圧を発症するリスクが高く、また心血管疾患のリスクも正常血圧の人より高いことが明らかになっています【文献18】。したがって、白衣高血圧と診断された場合でも、生活習慣の改善と定期的な血圧測定が推奨されます。

仮面高血圧はより深刻な問題です。診察室では正常血圧であるため治療が行われず、実際には家庭や職場で高血圧状態が続いているため、心血管疾患のリスクが高まります。仮面高血圧の患者は、持続性高血圧の患者と同程度の心血管リスクを持つことが研究で示されています【文献18】。ためしてガッテンでは家庭血圧測定の重要性が強調されましたが、仮面高血圧の危険性については十分に説明されませんでした。血圧を下げる方法を実践する際には、診察室血圧だけでなく、家庭血圧も継続的に測定し、両方の値を総合的に評価することが不可欠です。



よくある質問(FAQ)

■1. Q1: ためしてガッテンで紹介されたタオルグリップ法だけで高血圧は治りますか?

タオルグリップ法だけで高血圧が完治することはありません。タオルグリップ法には一定の降圧効果がある可能性がありますが、科学的エビデンスは限定的であり、日本高血圧学会のガイドラインでも推奨される運動療法には含まれていません【文献1】。血圧を下げる方法として、タオルグリップ法は補助的な手段として位置づけ、減塩、DASH食有酸素運動などの基本的な生活習慣改善を優先すべきです。また、Ⅱ度高血圧以上(160/100mmHg以上)の場合は、降圧薬による治療が必要です。タオルグリップ法を実践する場合でも、必ず医師の指導のもとで総合的な血圧管理を行ってください。

■2. Q2: ためしてガッテンの減塩方法を実践すれば、すぐに血圧は下がりますか?

減塩の効果が現れるまでには、通常2~4週間程度かかります。ためしてガッテンでは短期間で効果が出るような印象を与える演出がありましたが、実際には個人差が大きく、塩分感受性が高い人では比較的早く効果が現れますが、塩分感受性が低い人では効果が実感しにくいこともあります【文献5】。また、減塩だけでなく、DASH食として野菜や果物からカリウムを積極的に摂取することで、より高い降圧効果が得られます【文献2】。血圧を下げる方法として減塩を実践する際には、短期的な結果に一喜一憂せず、少なくとも3ヶ月は継続して効果を評価することが推奨されます。

■3. Q3: 家庭血圧が正常なら、診察室で高くても問題ありませんか?

診察室血圧が高く家庭血圧が正常な状態は「白衣高血圧」と呼ばれます。以前は治療の必要性が低いとされていましたが、近年の研究では、白衣高血圧の人も将来的に持続性高血圧を発症するリスクが高く、心血管疾患のリスクも正常血圧の人より高いことが明らかになっています【文献18】。したがって、白衣高血圧と診断された場合でも、減塩、DASH食、運動などの生活習慣改善を実践し、定期的に家庭血圧を測定することが推奨されます。また、診察室血圧が持続的に高い場合(140/90mmHg以上)は、医師と相談して降圧薬の使用を検討する必要があります【文献1】。

■4. Q4: ためしてガッテンのインターバル速歩は、膝が悪くてもできますか?

膝に痛みや違和感がある場合、インターバル速歩はお勧めできません。速く歩くことで膝関節への負担が増大し、症状が悪化する可能性があります。膝に問題がある場合の血圧を下げる方法としては、水中ウォーキング、水泳、固定式自転車(エアロバイク)など、膝への負担が少ない運動が適しています。また、タオルグリップ法は膝に負担をかけないため、膝に問題がある人でも実践可能です。ただし、運動療法を開始する前には必ず医師に相談し、自分の健康状態に適した運動方法を選択してください【文献1】。

■5. Q5: 血圧の薬を飲んでいますが、ためしてガッテンの方法で薬をやめられますか?

降圧薬を服用している場合、自己判断で薬を中止することは極めて危険です。急に降圧薬をやめると、血圧が急上昇(リバウンド現象)し、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まります。ためしてガッテンで紹介された減塩、DASH食、運動療法などの生活習慣改善を降圧薬と併用することで、血圧がより良好にコントロールされ、場合によっては医師の判断により降圧薬の減量や種類の変更が可能になることがあります【文献14】。しかし、薬の調整は必ず医師の指導のもとで行う必要があります。血圧を下げる方法として、生活習慣改善と薬物療法を適切に組み合わせることが最も効果的なアプローチです。

■6. Q6: ためしてガッテンで紹介された方法は、誰でも効果がありますか?

ためしてガッテンで紹介された方法が全ての人に同じように効果があるわけではありません。血圧を下げる効果には大きな個人差があり、遺伝的素因、年齢、肥満度、基礎疾患の有無、塩分感受性などによって効果が異なります。また、慢性腎臓病患者ではカリウム摂取制限が必要なため、DASH食が適さない場合があります【文献13】。重度の高血圧(180/110mmHg以上)や心血管疾患がある場合は、タオルグリップ法インターバル速歩を実践する前に必ず医師に相談してください【文献1】。番組の情報を実践する際には、自分の健康状態を正確に把握し、医療専門家の指導を受けることが不可欠です。



まとめ

ためしてガッテンで紹介された血圧を下げる方法は、多くが科学的根拠に基づいた有効な手段です。特にDASH食(番組では「塩出しミネラル」として紹介)は、複数の大規模臨床試験でその効果が実証されており、日本高血圧学会のガイドラインでも推奨される食事療法です【文献1】【文献2】。減塩と組み合わせることで収縮期血圧を10~20mmHg低下させる効果があり、これは降圧薬に匹敵する効果です。また、有酸素運動の降圧効果も多数の研究で実証されており、週に3~5回、1回30分以上の中等度の運動を継続することで、収縮期血圧が5~8mmHg低下します【文献3】。インターバル速歩については、信州大学の研究で効果が報告されており【文献15】、時間効率の良い運動方法として有用です。

一方で、番組の演出上、いくつかの重要な情報が省略されたり、効果が過大に表現されたりした部分もあります。タオルグリップ法については、科学的エビデンスが限定的であり、番組での検証も小規模で厳密性に欠けるものでした。アメリカ心臓協会では「グレードⅡB(さらなるデータの蓄積が求められるが、おそらく推奨できる)」という慎重な評価に留まっており、有酸素運動のような確立された運動療法と同等に扱うことはできません。また、慢性腎臓病患者ではカリウム摂取制限が必要であるにもかかわらず、番組では「カリウムを積極的に摂りましょう」というメッセージが強調され、注意喚起が不十分でした【文献13】。血圧を下げる方法を実践する際には、番組の情報だけに頼らず、自分の健康状態を正確に把握し、医師の指導を受けることが不可欠です。

血圧サージについては、医学的に重要な概念であり、特に早朝の血圧上昇は脳卒中のリスクと強く関連します【文献17】。家庭血圧測定により血圧サージを検出し、起床時にゆっくり体を起こす、寒暖差を避けるなどの対策を講じることで、心血管イベントのリスクを低減できます。しかし、番組では「すべての血圧上昇が危険」という印象を与える演出があり、視聴者に過度な不安を与えた可能性があります。血圧は健康な人でも1日の中で20~30mmHg程度変動することは正常であり、問題となるのは変動幅が極端に大きい場合や、夜間の血圧低下が不十分な場合です【文献1】。家庭血圧測定は重要ですが、数値に一喜一憂せず、長期的なトレンドを見ることが大切です。

最も重要なのは、ためしてガッテンで紹介された方法だけで高血圧が完治するわけではないという認識です。血圧を下げる方法として、減塩、DASH食、運動療法、生活習慣の改善は極めて有効ですが、Ⅱ度高血圧以上(160/100mmHg以上)の場合や、心血管疾患のリスクが高い場合には、降圧薬による治療が必要です【文献1】。生活習慣改善と薬物療法を適切に組み合わせることで、最も高い降圧効果が得られ、脳卒中や心筋梗塞などの重大な合併症を予防できます【文献14】。また、降圧薬を服用している患者でも、生活習慣改善を継続することで、薬の効果が増強され、場合によっては減量が可能になることがあります。ただし、薬の調整は必ず医師の指導のもとで行い、自己判断で服用を中止することは絶対に避けなければなりません。

ためしてガッテンは一般の人々に健康情報をわかりやすく伝えるという点で優れた番組でしたが、バラエティ番組である以上、演出や視聴率を意識した情報提示が行われることは避けられません。視聴者は番組の情報を鵜呑みにせず、日本高血圧学会のガイドライン【文献1】や国立循環器病研究センターなどの信頼できる医療機関の情報【文献6】を参照し、科学的根拠に基づいた血圧管理を行うことが重要です。また、個人の健康状態は千差万別であり、番組で紹介された方法が全ての人に適しているわけではありません。特に基礎疾患がある場合、高齢者、妊婦などは、必ず医師に相談してから実践してください。血圧を下げる方法として、医療専門家と連携しながら、自分に最適な方法を見つけ、生涯にわたって継続可能な生活習慣を確立することが、高血圧管理の成功の鍵です。



専門用語一覧

  • 高血圧:血管壁に持続的に高い圧力がかかる状態で、診察室血圧で140/90mmHg以上、家庭血圧で135/85mmHg以上と定義される疾患。
  • DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension):高血圧を防ぐための食事方法で、野菜、果物、低脂肪乳製品、全粒穀物を豊富に含み、カリウム、カルシウム、マグネシウムを積極的に摂取する食事パターン。
  • ナトリウム:食塩の主成分であり、血液中の浸透圧を調整する電解質。過剰摂取により循環血液量が増加し、血圧が上昇する。
  • カリウム:細胞内に多く存在する電解質で、腎臓でナトリウムの再吸収を阻害し尿中排泄を促進することで、血圧を低下させる効果がある。
  • 一酸化窒素(NO):血管内皮細胞から産生される物質で、血管を拡張させ血流を改善する作用を持つ。運動により産生が促進される。
  • 血圧サージ:短時間に血圧が急激に上昇する現象。起床時、入浴時、ストレス時などに起こりやすく、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高める。
  • 白衣高血圧:診察室で測定した血圧が高いが、家庭では正常範囲である状態。緊張や不安により診察室で血圧が上昇する現象。
  • 仮面高血圧:診察室では正常血圧だが、家庭や職場では高血圧である状態。治療が必要であるにもかかわらず見逃されるリスクがある。
  • 早朝高血圧:起床後の朝の時間帯に血圧が特に高くなる状態。脳卒中のリスクを高めるため、家庭血圧測定により検出することが重要。
  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS):睡眠中に呼吸が一時的に停止する疾患。夜間の血圧上昇の原因となり、高血圧患者の30~50%に認められる。
  • CPAP(持続陽圧呼吸療法):睡眠時無呼吸症候群の標準的な治療法で、睡眠中に鼻マスクを装着して気道に空気を送り込み、呼吸の停止を防ぐ。
  • 塩分感受性:食塩摂取量の変化に対する血圧の反応性。塩分感受性が高い人ほど、食塩摂取により血圧が上昇しやすい。
  • BMI(体格指数):体重(kg)を身長(m)の二乗で割った値。25以上が過体重、30以上が肥満と判定され、高血圧のリスクが増加する。
  • 有酸素運動:酸素を使って糖や脂肪をエネルギーに変換しながら行う運動。ウォーキング、ジョギング、水泳などが含まれ、血圧低下効果がある。
  • インターバル速歩:速く歩く時間とゆっくり歩く時間を交互に繰り返す運動方法。通常のウォーキングよりも高い降圧効果が得られる。
  • タオルグリップ法:丸めたタオルを握る運動で、カナダで開発されたハンドグリップ法をアレンジしたもの。血圧低下効果が報告されているが、エビデンスは限定的。
  • 動脈硬化:血管壁が硬く厚くなり、柔軟性を失った状態。高血圧により促進され、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高める。
  • 慢性腎臓病(CKD):腎臓の機能が慢性的に低下した状態。高血圧は慢性腎臓病の原因であり、また腎臓病は高血圧を悪化させる。
  • 降圧薬:血圧を下げるための薬剤。Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬など複数の種類がある。
  • 収縮期血圧:心臓が収縮して血液を送り出す際の血圧で、血圧測定値の上の数値。140mmHg以上が高血圧の基準。
  • 拡張期血圧:心臓が拡張して血液を溜める際の血圧で、血圧測定値の下の数値。90mmHg以上が高血圧の基準。
  • メタボリックシンドローム:腹部肥満に加えて、高血圧、高血糖、脂質異常のうち2つ以上を合併した状態。心血管疾患のリスクが高い。
  • 交感神経:自律神経の一つで、活動時やストレス時に優位になり、心拍数と血圧を上昇させる。
  • 血管内皮細胞:血管の内側を覆う薄い細胞層。一酸化窒素を産生して血管を拡張させる重要な役割を持つ。
  • アンジオテンシン受容体:血圧を上昇させる物質の受容体。運動により発現量が低下することで血圧が下がる。



参考文献一覧

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執筆者

代表取締役社長 博士(工学)中濵数理

■博士(工学)中濵数理

  • 由風BIOメディカル株式会社 代表取締役社長
  • 沖縄再生医療センター:センター長
  • 一般社団法人日本スキンケア協会:顧問
  • 日本再生医療学会:正会員
  • 特定非営利活動法人日本免疫学会:正会員
  • 日本バイオマテリアル学会:正会員
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